白井戦太郎

白井戰太郎（しらい せんたろう）

概要

白井戰太郎（1907年 - 1945年8月6日）は、昭和初期に活躍した日本の映画監督、脚本家です。本名は煙崎浅男（たばさき あさお）。時代劇を中心に、多くの作品を手がけました。

生涯

1907年（明治40年）、広島県水主町（現在の広島市中区加古町）に生まれました。1927年（昭和2年）に、剣戟俳優・市川右太衛門が設立した市川右太衛門プロダクションに入社し、サイレント映画『怒苦呂』で監督デビューを果たします。その後、同プロダクションで27作品を監督しました。

1933年（昭和8年）には、嵐寛寿郎プロダクションに移籍し、『隠密一代男』、『黄金騎士』の2作品を監督後、独立します。1934年（昭和9年）には、大阪府枚方市に亜細亜映画を設立し、旭ヶ丘撮影所を開所。この時、日活太秦撮影所の端役俳優だった近衛十四郎を主役に抜擢し、剣戟映画『叫ぶ荒神山』、『曲斬海道旅』を制作しました。しかし、同年9月に発生した室戸台風によって撮影所が壊滅。再建資金も無く、閉鎖を余儀なくされました。

その後、白井は近衛と共に東京の大都映画に入社。1935年（昭和10年）には大都映画移籍第1作『定九郎破れ笠』を発表し、その後6年間で64作品を監督しました。代表作には、『赤尾の林蔵』（1938年）、『柘榴一角』（1941年）などがあります。

1942年（昭和17年）の戦時統制により、大都映画は新興キネマ、日活の製作部門と合併し、大日本映画製作（のちの大映）となります。白井は大映京都撮影所に勤務し、池田富保と共に、『富士に立つ影』（1942年）と『菊池千本槍 シドニー特別攻撃隊』（1944年）を共同監督しました。

また、この頃、白井は妻と離婚し、大都時代からの同僚である女優・琴糸路と再婚。琴はそれを機に大映を退社し、自身の劇団を立ち上げたとされています。

1945年（昭和20年）1月14日、片岡千恵蔵・市川春代主演の『龍の岬』が公開されましたが、白井自身は応召され、同年8月6日に広島で被爆死しました。当時、田坂具隆の上官として同じ隊に所属しており、被爆時に38歳前後でした。田坂は一命を取り留めたものの、長年原爆症に苦しみました。白井は俳優の丸山定夫らと共に被爆死した数少ない映画人の一人です。

フィルモグラフィ

白井戦太郎の監督作品は多くが現存していませんが、以下の作品が現存しています。

『怒苦呂』（1927年）
『悲願四目菱』（1931年、古野英治と共同監督）
『隠密一代男』（1933年）
『黄金騎士』（1933年）
『叫ぶ荒神山』（1934年）
『曲斬海道旅』（1934年）
『定九郎破れ笠』（1935年）
『忠臣蔵』（1937年）
『赤尾の林蔵』（1938年）
『噫軍神杉本中佐 死の中隊』（1938年）
『地平線』（1939年、吉村操と共同監督）
『柘榴一角』（1941年）
『鞍馬天狗 雨中の騎士』（1941年）
『富士に立つ影』（1942年、池田富保と共同監督）
『菊池千本槍 シドニー特別攻撃隊』（1944年、池田富保と共同監督）
『龍の岬』（1945年）

外部リンク

Sentarô Shirai - IMDb
白井戦太郎 - 日本映画データベース
* 白井戦太郎 - allcinema

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