白川ダム (山形県)

白川ダムの概要

白川ダム（しらかわダム）は、山形県西置賜郡飯豊町に位置し、一級河川・最上川水系の置賜白川に建設された日本初の直轄ロックフィルダムです。このダムは国土交通省東北地方整備局により管理されており、高さは66メートルで、多目的用途のために設計されています。主な目的には置賜白川及び最上川の治水、かつ山形県内の利水供給や公営水力発電が含まれます。今では寒河江川の寒河江ダムと共に、最上川ダム統合管理事務所により総合的に運用されています。

ダムにより形成された人造湖は白川湖（しらかわこ）と名付けられ、訪れる観光客の数は年間約35万人に達します。特に、毎年4月中旬から5月中旬までの約1か月間現れる水没林は、訪問者に人気の美しい景勝地として知られています。これは、シロヤナギなどの植物が水面に美しい影を落とすことで知られており、湖岸の景観を一層引き立てています。

白川ダムの沿革

白川ダムの建設は、1913年にさかのぼる最上川での治水事業に始まります。特に戦後の水害の多発により、河川改修や多目的ダムの必要性が高まりました。建設省は、1958年の狩野川台風による激甚な水害を受け、1963年に「第二次最上川改定改修計画」を策定しました。この計画では、飯豊山を水源とし長井市で最上川に合流する置賜白川にダムを建設し、下流の洪水調節を目指しました。

1967年、置賜地域は羽越豪雨に襲われ、過去最大級の被害が発生しました。この経験からダム建設の重要性が再認識され、1968年に「白川総合開発事業」として具体的な計画が立案されました。

ダムの型式は中央土質遮水壁型ロックフィルダムであり、その堤体は上流側にやや折れ曲がっています。建設が始まったのは1971年でしたが地質の問題から工事が遅延し、最終的には1981年に完成しました。

白川ダムの役割と利水

白川ダムの主眼は、洪水調節の実施だけでなく、農業用水や工業用水の供給も重要な目的です。特に、務める水田の面積は3,567.2ヘクタール、畑は273.9ヘクタールに及びます。また、日量10,000トンの工業用水道供給や、山形県企業局による水力発電（8,900キロワット）も行われています。

最上川水系においては、白川ダム以外にも寒河江ダム（1990年完成）や長井ダム（2011年完成）があり、現在は総合的な管理が行われています。

白川湖の魅力

白川ダムが生み出した白川湖は、50,000,000トンの貯水容量を持ち、四季折々の美しい景色が楽しめます。春にはオオヤマザクラが咲き誇り、夏には「SNOWえっぐフェスティバル」が開催され、冬には湖が結氷する様子も楽しめます。さらに、「全国白川ダム湖畔マラソン大会」などのイベントも行われ、訪れる人々を楽しませています。

水没林とその景観

雪解け水の時期に湖が満水となることで、岸辺に生えるシロヤナギの新緑が水面に映る姿が楽しめます。4月中旬から5月中旬のみ見ることができるこの水没林の美しさは、幻想的な朝靄と相まって一層神秘的です。観光客を迎えるため、期間中は交通渋滞対策として臨時駐車場が設けられます。

周辺施設とアクセス

ダム周辺には白川温泉の白川荘やコテージ村、オートキャンプ場があり、多くの観光客を迎え入れています。アクセスは、米沢市から国道113号を利用し、飯豊町手の子に入ってから直進するルートが便利です。

白川ダムは、災害対策や利水の役割を果たしつつ、美しい観光地としても知られています。その存在は地域の重要な資源となり、多くの人々に愛されています。

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