白瀧あゆみ杯争奪戦

白瀧あゆみ杯争奪戦：若手女流棋士の登竜門

白瀧あゆみ杯争奪戦は、日本将棋連盟が主催し、白瀧呉服店が後援する女流棋戦です。2006年に創設された非公式戦であり、若手女流棋士の育成と将棋界の活性化を目的としています。決勝戦は、例年10月に白瀧呉服店の店内というユニークな場所で開催されます。

大会の概要

この棋戦の大きな特徴は、参加資格が年度によって大きく変動することです。原則として「日本将棋連盟本部に所属する関東在住の若手女流棋士を中心とする8名によるトーナメント方式」が採用されていますが、過去には以下のような変遷が見られます。

第1回（2006年）：「U-20女流トーナメント」: 参加資格が20歳以下に限定され、女流棋士6名に加え、選抜された女流育成会員と女性アマチュア選手が各1名出場しました。
第2回（2007年）～第3回（2008年）: 年齢制限が撤廃され、若手女流棋士8名のみが参加しました。
第4回（2009年）：「新人登竜門戦」: 若手女流棋士6名と男性棋士2名が参加し、男性棋士との対局は角落ちで行われました。
第5回（2010年）: アマチュア選手が再び参加し、若手女流棋士6名、男性棋士1名、アマチュア選手1名の計8名が参加しました。
第6回（2012年）、第8回（2014年）: 女流棋士6名と女性アマチュア選手2名の計8名が参加しました。
第7回（2013年）: 女性奨励会員が初めて参加し、女流棋士4名、女性アマチュア選手2名、女性奨励会員2名の計8名が参加しました。
第9回（2015年）: 女流棋士6名、女性奨励会員1名、女性アマチュア選手1名の計8名が参加しました。
第10回（2016年）：「最強者決定戦」: 東急百貨店将棋まつりの特別企画として、女流タイトル保持者・経験者を含む女流棋士6名と女性奨励会員2名が参加しました。
第11回（2017年）: 棋戦名が「白瀧あゆみ杯争奪戦 新人登竜門戦」に変更されました。女流棋士7名、女性アマチュア選手1名の計8名が参加しました。
第12回（2018年）～第13回（2019年）: 女流棋士6名、女性アマチュア選手2名の計8名が参加しました。
第14回（2020年）: COVID-19の影響により出場枠が4名に絞られ、女流棋士3名とアマチュア予選を勝ち上がった女性アマチュア選手1名が参加しました。
第15回（2021年）: 前年同様に出場枠が4名に絞られ、女流棋士2名とアマチュア予選を勝ち上がった女性アマチュア選手2名が参加しました。
第16回（2022年）: 女流棋士5名と、女性研修会員によるアマチュア予選を勝ち上がった女性アマチュア選手1名の計6名が参加しました。
第17回（2023年）: アマチュア予選では女性研修生12名によるトーナメントが実施され、本戦には連盟選抜女流棋士7名とアマ予選通過者1名が参加しました。

持ち時間は対局時計使用で、1回戦と準決勝は各15分（使い切ったら1手30秒未満）、決勝は各1時間（使い切ったら1手60秒未満）です。なお、2011年は開催されませんでした。

棋戦名の由来と創設の背景

棋戦名の「白瀧あゆみ」は、白瀧呉服店の棋戦創設時の若女将の本名であり、将棋の駒の「歩」という意味も込められています。白瀧呉服店の社長である白瀧五良氏が将棋ファンであり、「女流棋士の棋戦が少ないため、研鑽の場を提供し、女流棋士の地位や意識を向上させたい。そして若い人にも門戸を開きたい」という思いから、渡辺明氏に相談し、日本将棋連盟理事会に掛け合い、創設が実現しました。

白瀧呉服店について

スポンサーであり、決勝の会場でもある白瀧呉服店は、練馬区にある嘉永六年（1853年）創業の東京で最も大きい呉服店です。

優勝者への特典

決勝進出者にはカップと賞金が贈られるほか、優勝者には袴セット、準優勝者には浴衣セットが授与されます。

東急百貨店将棋まつりでの公開対局

2019年までは、1回戦の全4局が、毎年8月に開催される東急東横店将棋まつりの一環として、浴衣姿での公開対局として行われるのが恒例となっていました。

過去の記録

第1回（2006年）の1回戦では、小学6年生の加藤桃子アマが貞升南女流2級を破り、話題となりました。
第5回（2010年）には、同じく小学6年生の竹俣紅アマが熊倉紫野女流初段と鈴木環那女流初段を破って決勝戦に進出しました。
第14回（2020年）では、決勝で和田あき女流初段を破って内山あやアマがアマチュアとして初めて優勝を果たしました。
第8回（2014年）に優勝した和田あきと第16回（2022年）に優勝した和田はなは、女流棋士の姉妹であり、姉妹が揃って優勝したのは本棋戦で初めてのことです。

白瀧あゆみ杯争奪戦は、若手女流棋士の育成とアマチュア選手の才能発掘に貢献する、意義深い棋戦と言えるでしょう。

もう一度検索