白石正美

白石正美は、1948年東京に生まれ、慶應義塾大学文学部美学美術史専攻を卒業後、フジテレビギャラリーでの勤務を経て、1989年に株式会社白石コンテンポラリーアートを設立しました。現代美術の企画・売買を手がける傍ら、東高現代美術館の副館長として、ソル・ルウィットやダニエル・ビュランといった海外の著名なアーティストの展覧会を企画し、その名を広めました。また、遠藤利克など日本の作家の個展も多数開催しています。

さらに、ファッション、建築、映画といったジャンルを横断する企画にも積極的に取り組み、「三宅一生―プリーツ・プリーズ展」や「デビッド・リンチ展」「レンゾ・ピアノ展」など、既存の枠にとらわれない斬新な試みで注目を集めました。1992年からは「国際コンテンポラリーアートフェア NICAF YOKOHAMA」の総合プロデュースを担い、現代アートマーケットの育成と啓蒙に貢献しました。

1993年には、東京・谷中に銭湯を改装したギャラリースペース「SCAI THE BATHHOUSE」を開設。中村政人、村上隆、太郎千恵蔵といった若手日本人作家を積極的に紹介する一方で、ジェイムズ・リー・バイヤースやジグマー・ポルケなどの海外作家の展覧会も開催し、国内外で話題を集めました。また、国内外の公立美術館や個人コレクター、企業のアートコンサルタントとしても活動し、公共施設へのパブリックアート設置にも深く関わっています。六本木ヒルズのルイーズ・ブルジョワ《ママン》、テレビ朝日新社屋の宮島達男作品《Counter Void》、金沢21世紀美術館のアニッシュ・カプーア《世界の起源》など、市民に親しまれる大型作品の設置に尽力しました。李禹煥美術館や豊島横尾館の開設にも貢献しています。

国際的な活動も積極的に行っており、2002年以降、世界最大規模のアートフェアであるアート・バーゼルに毎年出展しています。アニッシュ・カプーア、ジュリアン・オピー、ダレン・アーモンドといった海外の著名な作家を紹介する一方で、中西夏之、宮島達男、森万里子といった日本の代表的な作家を海外に紹介しています。名和晃平をはじめとする若手作家の育成にも力を入れており、長期的な視点で幅広い活動を展開しています。

SCAI THE BATHHOUSEは、200年の歴史を持つ銭湯「柏湯」をギャラリースペースに改築したものであり、白石氏は、NPO法人たいとう歴史都市研究会と連携して、台東区谷中における歴史的建造物の保存活動にも取り組んでいます。その一環として、2008年には谷中のシンボルであった「カヤバ珈琲店」を改装し、経営再建を行い、2015年には「上野桜木あたり」を開設するなど、地域産業の再建と街の景観・文化保存に尽力しています。

近年では、東京のアートシーンで生まれる優れたプロジェクトを支援する「駒込倉庫」や、作品保管の現場と展示空間を融合させた「SCAI PARK」を新たに開設しました。過去作品の再評価と、若手作家の育成を両軸として、現代アートの新たな文脈化に貢献する持続的な支援を続けています。

白石正美の活動は、現代アートの発展に大きく貢献しており、その幅広い視野と情熱は、多くの人々に影響を与え続けています。

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