アニッシュ・カプーア

アニッシュ・カプーアは、1954年にインドのボンベイ（現在のムンバイ）で生まれました。彼の母親はバグダッドのユダヤ人コミュニティ出身で、父親はパンジャーブ出身のインド海軍の水路学者でした。デヘラードゥーンで教育を受けた後、1971年から1973年にかけてイスラエルでキブツで働きながら電気工学を学び、その後イギリスに移り、ロンドンのホーンゼイ芸術大学とチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで美術を学びました。

1980年代初頭には、トニー・クラッグやリチャード・ディーコンらと共に、ニュー・ブリティッシュ・スカルプチャーと呼ばれる新しい彫刻の動向を牽引する作家の一人として注目を集めるようになりました。1990年にはヴェネツィア・ビエンナーレでイギリス代表として選出され、2000年賞を受賞。さらに翌年の1991年にはターナー賞も受賞するなど、その評価を確固たるものとしました。

カプーアの作品は、世界各地の主要な美術館で展示されており、ロンドンのテート・モダンやヘイワード・ギャラリー、スイスのバーゼルにあるクンストハレ、スペインのマドリードにあるソフィア王妃芸術センターなど、数多くの美術館で個展が開催されています。また、日本では、名古屋市のコオジオグラギャラリーで早くから作品を発表しており、名古屋市美術館には個人蔵の作品が寄託されています。さらに、金沢21世紀美術館など、各地の美術館にも作品が恒久設置されています。その活動は美術分野にとどまらず、宝飾メーカーのブルガリとはコラボレーションを行い、「B.zero1」と名付けられたアクセサリーシリーズを発表しています。

2003年には、その功績が認められ大英帝国勲章CBEを受章しました。

カプーアは、パブリックアートにも積極的に取り組み、数々の大規模な作品を制作しています。シカゴ市街地に設置された巨大なステンレス製の彫刻『クラウド・ゲート』は、その代表作の一つです。また、東京都立川市の安田火災ビル北側には『山』という作品が設置されています。さらに、2012年のロンドンオリンピックでは、オリンピックパーク内に建設された高さ115メートルの展望台、『アルセロール・ミッタル・オービット』を設計するなど、イギリスでも最大級のパブリックアート作品を手がけました。

2015年8月には、中国新疆ウイグル自治区カラマイ市に設置された巨大なステンレス製のオブジェが、『クラウド・ゲート』の盗作であるとして、カプーア側が訴訟を検討する意向を示しました。この事件は、彼の作品の独創性と影響力の大きさを改めて浮き彫りにしました。

カプーアの作品は、素材の質感や光の反射を巧みに利用し、見る者に深い印象を与えるのが特徴です。彼の作品は、美術館や公共の場に設置され、多くの人々に親しまれています。

主なパブリックコレクション

名古屋市美術館
金沢21世紀美術館「世界の起源」
[ファーレ立川]「山」
福岡市美術館「虚ろなる母」

関連事項

インスタレーション
ベンタブラック
ギャラリー

外部リンク

公式HP（英語）
* 美術手帖'>アニッシュ・カプーア - 美術手帖

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