白装束

白装束とは、文字通り白い衣服全般を指す言葉ですが、その意味合いは文脈によって大きく異なります。最も広義には、全身白ずくめの服装を指し、特定の集団や活動に関連して使われることがあります。

一方、狭義では、特定の儀式や行為の際に着用される、特別な白い衣装を意味します。例えば、神社の神事において神主や巫女、あるいは修験者などが身にまとう浴衣のような単衣などがこれにあたり、「白衣（はくい、しらぎぬ、びゃくえ）」とも呼ばれます。

歴史的背景

白装束の起源は古く、平安時代にまで遡ります。当初は、主に防寒の目的で、袴の下などに綿を詰めた白い衣が用いられていました。時代が下ると、その役割は変化し、様々な装束の下に着用する下着としての性格を強めていきました。

現代における主な着用例

現在、白装束と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、神社の巫女が襦袢の上から着用する白い上着かもしれません。また、天皇陛下が新嘗祭や大嘗祭といった重要な祭祀で身につけられる御祭服も、漂白されていない生織の純白の絹地で作られた装束であり、特別な白装束の一つと言えます。

多様な場面での白装束

白装束は、神事や儀式だけでなく、様々な文化的・宗教的な文脈で使用されます。

歴史的な宮廷装束: 平安時代には、天皇が神事を行う際に着用した帛（絹）の装束や、宮廷の男女が重ね着をした際の白い下着全般を指して「白装束」と呼ぶ習慣がありました。
巡礼の衣装: 四国八十八箇所の霊場を巡拝する「お遍路さん」の基本的な服装も白装束です。これは一般に「白衣（はくえ）」と呼ばれ、死出の旅姿になぞらえ、覚悟を示すという意味合いも含まれているとされます。
* 死装束: 白装束は、故人に着せる衣装、すなわち「死装束（にしぞうぞく）」や「経帷子（きょうかたびら）」としても広く知られています。この場合の白装束は、通常、白い単衣だけでなく、三角の布である天冠（てんかん）を頭につけ、手甲（てっこう）や脚絆（きゃはん）を身につけ、六文銭を入れた頭陀袋（ずだぶくろ）を首から下げるなど、特定の構成要素を含みます。ただし、その具体的な内容は、地方や宗派によって異なる場合があります。

その他

特定の集団が全身白ずくめの服装をしていたことから、マスメディアがその異様さを強調するために「白装束集団」といった呼称を用いた例もあります。これは、白という色が持つ清浄さや非日常性といったイメージが、集団の特異性を印象づけるのに利用されたケースと言えるでしょう。

このように、白装束は単なる色としての白を超え、神聖、清浄、旅立ち、集団の象徴など、多様な意味や役割を担う衣服として、日本の歴史や文化の中に深く根ざしています。

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