盛岡バスセンター

盛岡バスセンター



盛岡バスセンターは、岩手県盛岡市にあるバスターミナルです。旧バスセンターは1960年4月20日に開設され、長年にわたり地域の交通を支えてきました。しかし、施設の老朽化や耐震性の問題から2016年9月30日に閉鎖されました。その後、2022年10月4日に新バスセンターが開業し、新たなスタートを切りました。

歴史



旧バスセンター開設から再開発計画まで



盛岡市は戦災の影響が比較的少なかったため、古い街並みが残っており、道路も狭いところが多かったのが特徴でした。そのため、各バス会社が別々の場所に発着所を設けていたことで、交通渋滞が慢性化し、市民からの苦情が増えていました。そこで、バス会社間で共同のバスターミナルを建設する計画が持ち上がりました。

1959年5月、盛岡市、岩手県北自動車（県北バス）、地元商店街などが出資し、株式会社盛岡バスセンターが設立されました。しかし、バスセンターの建設場所をめぐって、古くからある「肴町商店街」と戦後発展した「大通商店街」が対立。盛岡市が仲介に入り、学識経験者も加えた委員会が審議した結果、現在地である中ノ橋通に建設することが決定しました。

1960年4月20日、旧バスセンターが開業しました。建物は2階建てで、1階は窓口と広々とした待合所、2階には売店や飲食店が集まっていました。屋上には「盛岡バスセンターテーマパーク」という植物園と遊園地があり、デパートのような賑わいを見せていました。1966年には3階が増築され、外壁には電照式の広告板が設置されました。開設当初は十分な広さだった敷地も、バス路線や便数の増加、バスの大型化により次第に狭くなり、末期にはバスセンター構内で発着できない便も多く発生していました。2012年3月には、経営権が岩手県交通から国際興業へ移行しました。

旧バスセンターは、長年の使用により建物の老朽化が深刻化し、現行の建築基準法の耐震基準を満たしていませんでした。そのため、2008年に盛岡市が再開発計画を発表しましたが、経済情勢の悪化や東日本大震災後の建設資材高騰の影響により、計画は頓挫。2016年3月14日にバスセンターはバスターミナル事業から撤退し、同年9月30日に閉鎖されました。その後、建物は解体されましたが、バスセンター内のレトロな雰囲気は、地元メディアでたびたび取り上げられ、多くの人々に愛されていました。

再開発計画の頓挫と旧バスセンターの閉鎖、そして新バスセンターの開設へ



2008年、老朽化したバスセンターを建て替える際に、バスターミナルのほかにマンション、商業施設、福祉施設、公共施設を併設した複合ビルにする計画が発表されました。しかし、経済情勢の悪化や東日本大震災後の建設資材高騰の影響により、計画は見直されることになりました。

その後、2013年に第2期盛岡市中心市街地活性化基本計画に盛り込まれ、2014年から建て替え工事に着手する予定でしたが、バスセンターの経営権を持つ国際興業の経営変化や建設資材の高騰により、着手の目途が立たないまま、2016年3月14日に閉鎖が決定。同年9月30日に閉鎖されました。閉鎖後、跡地周辺に仮設の乗り場と待合所が設置され、乗車券・定期券売り場は「ななっく」1階に設置されました。その後「ななっく」閉店に伴い、「プラザおでって」1階に移転しました。

旧バスセンターを始発地および終点としていた高速バス「ドリーム盛岡号」と「アーバン号」は、閉鎖に先立つ2016年7月31日の便をもってバスセンターへの乗り入れを中止し、翌8月1日からはそれぞれ盛岡駅東口、盛岡駅西口発着となりました。

バスセンターの代替施設については、しばらく白紙の状態でしたが、盛岡市とバス運行会社との協議の結果、市が跡地を買い取った上で複合施設を建設し、バスターミナルの機能を維持する方針が決定しました。

市民有志の「盛岡バスセンターから考える会」は、建物の保全・補修と継続使用を求めて市長と市議会に要望書と陳情書を提出。市はこれを受け、バスセンターの外壁の一部を新バスセンター2階のフードホールで保存展示することに決定しました。

2017年7月には、跡地を取得した盛岡市が地元住民団体に無償貸与し、跡地は「地域活用ゾーン・SIDE-B」として、イベントスペースなどに活用されました。

2021年7月には、新バスセンターの建設工事が始まり、2022年10月4日に供用開始。バス乗り場は翌10月5日から使用開始されました。新バスセンターは、バスターミナル部分を盛岡市が、商業施設部分を盛岡ローカルハブ株式会社が運営しています。

所在地



岩手県盛岡市中ノ橋通1丁目9番22号に位置しています。盛岡市内には他に、盛岡駅バスターミナルや松園バスターミナルがあります。

新盛岡バスセンター



新バスセンターは、旧バスセンターの跡地に建設された東棟と、旧アレ・ヴェールの跡地に建設された西棟の2つに分かれています。東棟1階には、2階までの吹き抜け構造で5つの発着バースを持つバス乗り場があります。3階部分の床面は、バス乗り場全体にかかる大屋根を兼ねた構造となっています。旧バスセンター閉鎖後に設置されていた仮設バス乗り場は撤去され、乗車券・定期券売り場もバスセンター内に戻りました。

施設概要



乗り場


新バスセンターの開設により、仮設乗り場を発着していた便は、新バスセンター内に変更されました。また、一部路線が盛岡駅発着からバスセンター発着に変更されたり、花巻空港線が乗り入れを再開したりしました。旧バスセンター時代に乗り入れていなかった一部の高速バスも乗り入れを開始しました。

センター内


新バスセンターの乗り場は、頭端式からロータリー式に変更されました。ロータリーの外周に1～4番乗り場、中心に5番乗り場が設けられています。旧バスセンターにあった案内放送と発車指示ランプは廃止され、デジタルサイネージとスマートバス停が導入されました。

周辺道路上


新庄線、白百合学園線、盛岡都心循環バス「でんでんむし」は、旧バスセンター時代と同様に周辺の停留所に停車します。

旧盛岡バスセンター



旧バスセンターは、1960年4月20日に供用開始されました。敷地内には平面バス待機場とL字型の建物があり、建物に沿って7つの発着バースが設けられていました。センター構内の乗り場に加え、周辺道路上にも「盛岡バスセンター」という名称のバス停が点在していました。

施設概要



過去に入居していたテナント


3階にはヤマハ音楽教室とカワイ音楽教室がありました。

乗り場


旧バスセンターの乗り場は頭端式で、発車時には係員が案内放送を行い、発車指示ランプを点灯させていました。複数台のバスが同時に発車する場合は、出口に近い方から順番に発車していました。岩手県交通の路線バスには3桁の系統番号が、岩手県北バスの路線バスにはアルファベットと2桁の数字を組み合わせた系統番号が振られていました。

周辺道路上


新庄線と盛岡都心循環バス「でんでんむし」は、ななっく・神明町両方の停留所に停車していました。

閉鎖後の乗り場の再編



旧バスセンター閉鎖後、乗り場は仮設乗り場やその他の停留所に再編されました。

周辺施設



盛岡バスセンター周辺には、様々な商業施設や飲食店があります。

脚注



注釈



出典



外部リンク



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