盧溝橋

盧溝橋の歴史と魅力

盧溝橋（ろこうきょう）は中国の北京市、特に豊台区に位置する歴史ある石造アーチ橋です。この橋は、永定河（旧称：盧溝河）に架かっており、794年の歴史を持っています。盧溝橋は金代の明昌3年（1192年）に完成し、以来数世代にわたる修復作業を経て現在に至っています。全長266.5m、11の美しいアーチを持ち、各アーチの長さは11m、扁平率は0.69という特異な楕円形状が特長です。

橋の欄干には計501基の獅子の彫刻が施されており、これらは各々異なる表情を持っています。この獅子の数を正確に数えるのが難しいことから、中国において「数えられないもの」を指す時に「盧溝橋の獅子」という表現が用いられることもあります。特に、歴史家や著述家たちにとってもこの橋は興味深い存在です。たとえば、旅人であるマルコ・ポーロはその著作『東方見聞録』の中で、盧溝橋の美しさを高く評価し、「世界中どこを探しても匹敵するものがない」と称賛しました。このため、西洋ではこの橋のことを「マルコポーロの橋」と呼ぶこともあります。

盧溝橋事件とその影響

盧溝橋の名は、1937年7月7日に発生した「盧溝橋事件」によって日本でも知られるようになりました。この事件は、謎の発砲事件が起こり、それを契機に日本の支那駐屯軍と中華民国の国民革命軍が衝突しました。この衝突が後に日中戦争の引き金となり、やがて長い戦争へと発展することになるのです。

中華人民共和国の成立後、盧溝橋は整備が進み、自動車の通行も可能となりました。しかし、橋自体は老朽化が進んでおり、1980年代には史跡保護のために大規模な修復工事が実施され、結果として現在は自動車通行が禁止されています。舗装された路面は残っていますが、中心部には往時の石畳が一部復元され、歴史を感じさせる造りとなっています。

観光名所としての盧溝橋

盧溝橋は観光地としても人気があり、特に橋のたもとには乾隆帝の筆による「盧溝暁月」の石碑が立っています。この碑文は、皇帝がここで美しい月を見たことに由来しており、中秋の名月の晩には多くの市民が月見に訪れます。さらに、東側には明末に建設された城郭都市・宛平県城があり、そこには中国人民抗日戦争紀念館も位置しています。

アクセス方法

盧溝橋へのアクセスは非常に便利で、北京地下鉄16号線の宛平城駅からは徒歩での訪問が可能です。また、北京市内からはバスやタクシーでの運行もあり、京石高速道路を利用することで、宛平橋で下車することもできます。さらに、北京から保定市方面に向かう列車からも、車窓からこの美しい橋を見ることができるため、訪れる価値があります。

全体として、盧溝橋はその美しい構造と歴史的背景から、訪れる者に感動を与えるスポットです。

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