直江津橋

直江津橋（なおえつばし）

直江津橋は、新潟県上越市の関川に架かる、全長237.9メートルの橋です。この橋は、単なる交通路としてだけでなく、地域の歴史や文化を象徴する存在として、多くの人々に親しまれています。特に、日本百名橋に選ばれていることからも、その美しさや重要性が伺えます。

概要

直江津橋は、関川の東西に広がる直江津市街地を結ぶ重要な役割を担っています。現在の橋は、1988年11月に架け替えられたもので、高欄には安寿と厨子王丸の物語をモチーフにしたパネルが飾られています。橋の上流にはJR信越本線の荒川橋梁、下流には荒川橋と関川河口が位置し、周辺の景観と調和した美しい姿を見せています。

架け替えの際、関川の引提工事に伴い、桁高を抑える必要がありました。そのため、主桁には2室箱桁が採用され、両側の径間には鋼床版が使用されています。また、軟弱地盤への対策として、不等沈下を防ぐために単純桁が採用されました。橋には、ガス管、水道管、電力線、通信線などのライフラインも併設されています。

構造

形式: 鋼6径間単純箱桁橋
橋長: 237.900 m
支間割: 38.750 m + 38.850 m + 38.850 m + 38.850 m + 38.850 m + 38.750 m
幅員: 13.000 m
車線数: 2車線
車道: 8.000 m
歩道: 両側2.500 m
橋台: RC逆T式橋台（場所打ち杭基礎）
橋脚: RC逆T式壁式橋脚（鋼管杭基礎）
床版: 鉄筋コンクリート床版（中央径間）、鋼床版（側径間）
施工: 新日本製鐵・高田機工・東日本鉄工
架設工法: クレーンベント工法（側径間）、台船工法（主径間）
* 竣工: 1988年（昭和63年）11月

歴史

直江津橋の歴史は古く、かつてこの地には「応化橋（おうげのはし）」と呼ばれる橋が架かっていました。この橋は、北陸道を往来する人々にとって重要な役割を果たしていました。

説話「さんせう太夫」では、安寿と厨子王丸がこの橋の辺りで連れ去られたとされており、森鷗外の小説「山椒大夫」でも広く知られています。

戦国時代には、上杉謙信が交通整備の一環として応化橋を再建し、維持のために橋銭を徴収しました。その後、御館の乱や豊臣政権下での福島城築城に伴い、橋の位置や構造が変化しました。

江戸時代に入ると、高田藩の政策により応化橋は破棄され、明治時代まで架橋が許可されませんでした。そのため、人々は渡し船を利用するか、大きく迂回する必要がありました。

明治時代になり、1871年に再び橋が架けられ、「直江津橋」と名付けられました。しかし、この橋は木橋であり、度重なる流失に見舞われました。その後、1899年に銭取橋として架け替えられ、1909年には木造の方杖板橋に改築されました。

1949年には新橋が架けられましたが、これも木造の土橋でした。関川の引提工事に伴い、架け替えが迫られ、1988年に現在の橋が完成しました。

現在の直江津橋は、地域の交通を支えるだけでなく、歴史と文化を伝えるシンボルとして、これからも人々に愛され続けるでしょう。

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