相川勝重

相川勝重

相川 勝重（あいかわ かつしげ、1950年8月13日 - ）は、日本の政治家、政治運動家であり、千葉県山武郡芝山町の元町長です。

生い立ちと成田空港問題への関与

1950年、相川氏は千葉県で生まれました。芝山町立芝山中学校、千葉県立多古高等学校を経て、千葉県立農村中堅青年養成所を修了後、地元で農業に従事しました。しかし、新東京国際空港（現在の成田国際空港）の建設計画が持ち上がると、その一方的なやり方に疑問を抱き、20歳から三里塚芝山連合空港反対同盟（反対同盟）の青年行動隊員として、成田空港問題に関わることになります。反対運動の中では逮捕歴も4回あり、東峰十字路事件では有罪判決も受けています。

政治家としての歩み

1980年、相川氏は芝山町議会議員に初当選し、2期8年を務めました。その後、JA山武青年部長、成田空港地域共生委員会地域委員などを歴任。1989年と1993年には芝山町長選に立候補するも、いずれも落選しました。

しかし、1993年に開催された成田空港問題円卓会議に、住民団体「ネットワーク芝山21」の一員として参加したことが転機となります。空港推進派を含む他団体との対話を重ね、1994年には地元3市町（成田市、芝山町、大栄町）の統一見解をまとめることに成功しました。

1997年、前町長の収賄事件を受け実施された町長選挙で、「2000年までの成田国際空港平行滑走路完成」や「芝山鉄道建設」を公約に掲げ、3度目の挑戦で悲願の芝山町長に就任しました。2001年には再選、2005年と2009年には無投票当選を果たし、2013年には12年ぶりの選挙戦を制し、2017年には6期目も当選。2021年12月6日に任期満了を迎え、24年間務めた町長を退任しました。

芝山町長としての政策

相川町政では、「成田国際空港との共存共栄」、「行政の透明化」、「農業の再生」が主要な政策として掲げられました。特に、成田空港の建設によって分断された一坪共有地の解消に尽力し、芝山鉄道の早期建設を目指しました。また、2008年には中山成彬国土交通大臣（当時）の「成田空港反対闘争はゴネ得」発言に対し、空港周辺自治体の長として強く抗議。2009年には、前原誠司国土交通大臣（当時）が提唱した「羽田ハブ化」に対抗し、成田空港の運用時間制限緩和を提案しました。

相川氏は、成田空港の機能強化に関する住民説明会に積極的に参加し、住民の意見を国や空港会社に伝え、騒音対策の強化にも取り組みました。さらに、「成田第3滑走路実現を目指す有志の会」の顧問や成田空港周辺地域共生財団の理事も務め、空港拡張に伴う税収増と交通インフラ整備を生かした町づくりを推進しました。

評価

相川氏の政策は、長年にわたる成田空港反対運動から、空港との共存共栄へと大きく転換した点に特徴があります。この転換は、反対同盟や新左翼党派からは「成田空港推進派への転向」として批判も受けていますが、一方で地域住民からは支持を得ています。また、千葉県町村会の副会長も務めるなど、地域社会に貢献しました。相川氏の功績は、成田空港と地域社会の新たな関係を築いた点にあると言えるでしょう。

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