相良長頼

相良長頼（さがら ながより）

相良長頼は、平安時代末期から鎌倉時代前期にかけて活躍した武将であり、鎌倉幕府の御家人でした。相良氏の初代当主として知られています。父は相良頼景、通称は三郎でした。

生涯

治承元年（1177年）、遠江国佐野郡の相良荘で生まれました。父の頼景は、源頼朝から遠江守に任じられていた安田義定に反抗したため、相良荘の大部分を失い、建久4年（1193年）に肥後国球磨郡の多良木荘を与えられ、事実上追放される形で下向しました。この時、長頼は相良荘の一部を相続し、遠江に留まりました。

建久9年（1198年）12月、長頼は源頼朝の命を受け、人吉へ下向しました。先に下向していた父の頼景は上球磨（多良木、湯前、湯山、江代）を領有していましたが、中球磨は木上岩城主の平川義高が、下球磨は公領でしたが平頼盛の代官であった矢瀬主馬佑が領していました。長頼は鎌倉幕府の命令であることを示し、矢瀬に人吉城の明け渡しを迫りましたが、拒否されます。そこで長頼は、住人・税所助三郎の勧めで、地方豪族である平川氏に使者を送り、矢瀬討伐を依頼しました。平川義高はこれを快諾し、大晦日の川狩の際に矢瀬一族を胸川（球磨川支流）に誘い出し、皆殺しにして人吉城を奪取しました。長頼は義高に迎えられ、人吉城に入城し、任務を果たして帰還しました。

建久10年（1199年）、源頼朝が死去すると、長頼も出家しました。その後、北条氏が勢力を拡大すると、これに服属しました。元久2年（1205年）には、畠山重忠の乱が起こりますが、長頼は二俣川の戦いにおいて先陣を務め、功績を挙げました。その結果、7月25日に肥後国球磨郡人吉庄の地頭職に任じられましたが、長頼の願いは本領である相良荘の回復でした。

承久3年（1221年）に承久の乱が起こると、幕府方の北条時房（北条義時の異母弟）に従い、長頼は弟の山井宗頼と佐原頼忠と共に参戦しました。東海道を西上し、宇治川の戦いでは佐々木信綱らと共に敵陣に一番乗りする功を立て、敵将の渡部弥次郎兵衛を討ち取るという武功を挙げました。これにより、執権北条義時によって相良荘の旧領回復を許され、さらに播磨国飾磨郡の荘園など多くの褒美を与えられました。

またこの時、北条義時より青磁の椀に梅の実を五つ盛って賜りました。長頼はこれを喜び、相良家の家紋を五つ梅御紋としたとされています。

父の頼景が亡くなった時期は不明ですが、安貞元年（1227年）に多良木荘を惣領である長頼が相続しました。

年代は不明ですが、長頼は恩義のある平川義高が不満を持ち叛乱を起こしたとして、兵を差し向け、血敷原の戦いでこれを滅ぼしました。非業の死を遂げた平川一族は球磨郡の各地に祀られましたが、これは祟りを恐れたものであり、一族を滅ぼしたことに大義がなかったことを示唆しています。

寛元元年（1243年）12月23日、甥（山井宗頼の子）の相良頼重と泉新荘（肥後国山鹿郡）を巡って争ったことを幕府に咎められ、所領の人吉庄のうち、北部を北条氏の領地として取り上げられてしまいました。一方で、宝治3年/建長元年（1249年）3月27日、執権北条時頼によって豊前国上毛郡成恒庄の地頭に任じられました。

建長6年3月、人吉庄にて死去し、嫡子の相良頼親（頼宗）が後を継ぎました。享年78。法号は蓮佛。

相良長頼は、その生涯を通じて、相良氏の基盤を固め、球磨地方の支配を確立した人物として評価されています。

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