相賀照郷

相賀照郷（あいが てるさと）は、1873年11月9日に生まれ、1950年11月17日にその生涯を閉じた、明治から昭和にかけて活躍した日本の警察・台湾総督府官僚であり、佐世保市長を務めた人物です。

彼は佐賀県杵島郡富岡村（現在の武雄市）で、佐賀県士族の家系に生まれた相賀照忠の長男として誕生しました。学業では優秀な成績を修め、1896年7月に第五高等学校を卒業。さらに研鑽を積み、1900年7月には東京帝国大学法科大学の法律学科（英法）を卒業しました。同年同月、逓信省に入省し、鉄道に関する職務である鉄道書記に任命されます。その後、1902年11月には難関であった文官高等試験の行政科試験に見事合格し、官僚としての道を確固たるものとしました。

1903年3月、彼は内務省へ転じ、警視庁の属と警部を兼任する形で警察官僚としてのキャリアをスタートさせます。警視庁警視、そして府中警察署長を歴任するなど、国内の治安維持に関わる要職を経験しました。1905年5月には、統治下の関東州へと転任し、民政署警視に就任しました。以後、関東州内で金州支署長、関東都督府金州民政署長、同旅順民政署長、同大連民政署長など、民政を司る重要な役職を歴任し、現地の行政運営に深く関わりましたが、1912年12月に休職となります。

2年後の1914年8月、活動の場を台湾総督府へと移します。ここでは同府事務官と臨時台湾総督府工事部事務官を兼務する形で着任しました。以後、台湾各地で様々な役職を歴任することになります。嘉義庁長、土木局長、台北州知事、警務局長、警察官及び司獄官練習所長、内務局長、土木局長心得など、行政、土木、警察、教育といった多岐にわたる分野でその手腕を発揮しました。特に嘉義庁長在任中には、嘉南平原における大規模な灌漑設備の建設を提言し、その実現に向けた調査が進められました。しかし、当時の予算的な制約から、この計画は実現に至りませんでした。台湾総督府での長きにわたる勤務を経て、1924年10月2日、依願免本官という形で官僚としての職を退きました。

官界を退いた後、彼は地方自治の世界へと転身します。1926年6月には、長崎県佐世保市の市長に就任しました。市長として、佐世保市の発展に尽力します。1927年4月には、周辺自治体であった東彼杵郡の佐世村と日宇村を佐世保市に編入するという市域拡大を実現させました。また、この年には市民からの強い要望があった路面電車に代わる交通手段として、市営自動車の運行を開始しました。この導入に伴い発生した、既存の運送業者に対する補償問題の解決にも力を注ぎました。約4年間の任期を務め上げ、1930年6月に任期満了に伴い市長を退任しました。

しかし、彼の佐世保市政への関わりはこれで終わりませんでした。1934年11月、再び佐世保市長に就任します。二期目の任期中も、市のさらなる発展に向けた取り組みを進めました。市街地の拡大に対応するため、新たな町名の設定や整理を実施しました。加えて、1938年4月には、北松浦郡相浦町の佐世保市への編入を実現させ、再び市域の拡張を果たしました。二期連続で市長職を務め、1940年3月にその職を退任しました。相賀照郷は、官僚として国の統治に関わった後、佐世保市長として二度にわたり地方自治に貢献し、その発展に寄与した人物として知られています。

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