相浦町

相浦町（あいのうらちょう）

相浦町は、1938年まで長崎県北[[松浦郡]]に存在した町です。現在の佐世保市相浦地域、および本庁地区の一部（俵ヶ浦半島の西半分）にあたります。

地理

相浦町は、北松浦半島の南端に位置し、西には九十九島が点在する風光明媚な場所でした。町域の北部に位置する浅子免は飛地となっており、陸路での移動には佐々村・小佐々村を経由する必要がありました。

特筆すべきは、町内に位置する西九州鉱床群相ノ浦層で、国内で唯一「自然水銀・辰砂・黒辰砂・角水銀鉱」の4種すべてが産出される場所でした。

主な地形は以下の通りです。

半島: 俵ヶ浦半島
山: 愛宕山（相浦富士）、弓張岳、但馬岳、石岳、赤崎岳、高岳、浅子岳、番岳
島嶼: 高島、トコイ島、上樫木島、下樫木島、上皆島、下皆島、上小高島、下小高島、トノコ島、蛭子島、焼島、矢坪島、地蛇島、蛇島（中蛇島）、金重島、鼠島、元ノ島、牧の島、桂島、松浦島、黒小島、根太木島、テンモク島、丈ヶ島、諸島、長南風島、枕島
河川: 相浦川、新田川、蛭子川
溜池: 江楯池
港湾: 九十九島湾、佐々浦、相浦港

歴史

相浦の地には、旧石器時代から近世に至るまでの遺跡が数多く存在します。平安時代の『続日本紀』には、777年に遣唐使が「合蠶田浦（あいこたのうら）」を訪れたという記述があり、これが現在の相浦を指すという説があります。

中近世には相神浦（あいかみうら）と呼ばれ、山口村は979年に武辺胤明によって開墾されたと伝えられています。平安・鎌倉時代には相神浦氏が拠点を置いていましたが、一族の不和により小城郡北多久原（佐賀県多久市北部）に移住し、相浦と改名しました。現在も多久には相神浦から勧請された飯盛神社が残っています。

室町時代以降は宗家松浦氏の勢力下となり、飯盛城を拠点に平戸松浦氏との間で覇権争いが繰り広げられましたが、最終的には平戸松浦氏に下りました。

江戸時代には平戸藩に属し、藩直営による干拓事業が行われました。川下新田の開発や、草刈重光による新田開発、石炭採掘などが行われ、山口村と新田村は相浦川沿岸の中心的な村として発展しました。

沿革

1889年（明治22年）4月1日 - 町村制施行により、山口村・新田村が合併し、北[[松浦郡]]山口村が発足。
1904年（明治37年）4月1日 - 佐世保市の一部を編入。
1930年（昭和5年）4月3日 - 町制施行、相浦町に改称。
1938年（昭和13年）4月1日 - 佐世保市に編入。

地名

相浦町は、免を行政区域としていました。大字は設置されていませんでしたが、大正時代の公報には、各免に大字（山口・新田）を冠称した記載が見られます。

町内は17の行政区に分けられていました。

相浦区、川迎区、武辺区、新田区、小野区、母ヶ浦区、椎木越区、日野区、長坂区、船越区、野崎区、俵ヶ浦区、大潟区、川下区、棚方区、浅子区、高島区

交通

鉄道は、旧国鉄松浦線が通っていました。実盛谷駅で相浦港方面と佐々方面に分岐していましたが、実盛谷駅は1945年に廃止されました。現在、旧町域には真申駅、棚方駅、大学駅があります。

名所・旧跡

蛭子島（蛭子公園）
金比羅公園
飯盛城跡
飯盛神社
竹辺遺跡
水銀鉱跡（大潟免）

参考文献

角川日本地名大辞典 42 長崎県
山口尋常高等小学校 編『山口村郷土誌』
* 田代行太『最新之佐世保・最新之相浦』

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