相馬中村城

相馬中村城について

相馬中村城（そうまなかむらじょう）は、福島県相馬市に存在した歴史ある日本の城です。この城は、単に中村城とも呼ばれますが、他の中村城との区別のために相馬中村城や陸奥中村城とジョジョもされます。相馬中村城は、戦国時代から江戸時代にかけての大名・相馬氏の居城の一つであり、江戸時代には中村藩の藩庁としても機能しました。別名として馬陵城（ばりょうじょう）も持っています。

概要

相馬中村城は、梯郭式の平山城であり、阿武隈山地の西側から延びるおおよそ15メートルの高低差を持つ小丘陵に築かれています。南側には宇多川が流れており、これは天然の外堀とされています。この川の水を引き、水堀が北側と東側にも整備されていました。西面には堀切と切岸による防御が施されています。また、北側には水堀を中心に多くの地形的障害が設けられており、これらは仮想敵である伊達氏に対抗するための工夫であることが窺えます。戦時中には堀を切って北側500メートルに及ぶ沼地を形成することも可能だったと伝えられています。この城は宇多川の渡河点を掌握する戦略的な位置にありました。

歴史

相馬中村城の歴史は非常に古く、平安時代の初期、約800年ごろに奥州鎮撫のために坂上田村麻呂によって最初に築かれたとされています。南北朝時代の1337年には、中村朝高がこの地に「中村館」を構え、その後も中村氏の支配が続きました。1563年には、相馬盛胤が浜通り夜ノ森以北で権勢を振るい、翌年には彼の次男相馬隆胤が入城しました。この時期、相馬氏と伊達氏の抗争が激化しており、中村城はその戦略的役割を担っていました。
1600年の関ヶ原の戦い以降、1611年には盛胤の孫である利胤が城を小高城から中村城へ完全移転し、中村藩の政府機関として機能し始めました。利胤は近世城郭への改修に着手し、本丸四櫓や天守を設けましたが、1670年に落雷で天守が焼失した後も再建されることはありませんでした。1868年の戊辰戦争では明治政府軍の攻撃を受けて陥落し、その後は政府軍の支配下に置かれました。さらに1871年に廃藩置県が実施され、相馬中村城は廃城となりました。

構造

相馬中村城の縄張りは、標高23メートルの丘陵の最高所に本丸を配置し、北、西、東にそれぞれ二の丸を設けています。本丸の北面と西面には小規模な水堀が存在し、東面には二の丸との間に空堀が見られます。南側は約10メートルの崖があり、その直下には堀の跡が保存されています。二の丸は堀に囲まれた丸馬出となっており、さらに西側には妙見曲輪と呼ばれる四面が堀と切岸に囲まれた曲輪が存在します。この妙見曲輪は、現在相馬妙見社の社殿として利用されています。

石垣

石垣は高さ2から3メートル程度で、本丸の周囲を取り囲んでいます。特異な形式のため、「鉢巻石垣」と呼ばれています。この他にも門周辺には小規模な石垣が見られますが、全体的には土の城とされ、多くが土塁によって構成されています。城下町は城の東側に広がり、特有のクランク状の道割が未だに残っています。

現況

現在、相馬中村城は「馬陵公園」として整備されており、大手門や石垣、土塁、堀などが現存しています。

観光

公園内には妙見神を祭る相馬中村神社があり、旧相馬氏領で毎年7月23日から3日続けて行われる相馬野馬追の祭りのひとつの開催地としても知られています。また、本丸には相馬神社もあることから、地域の文化や歴史を感じる場として訪れる価値があります。

関連項目

• - 日本の城一覧
• - 相馬氏
• - 相馬野馬追
• - 相馬中村藩
• - 小高城
• - 中村町 (福島県)

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