県 (中華民国)

台湾の地方行政区分である「県」（繁体字表記：縣、発音：xiàn、英語：county）は、中華民国統治下において、地方行政を担う重要な役割を果たしています。この制度は、もともと国民政府が中国大陸で採用していたものが、台湾にそのまま引き継がれたものです。

日本の地方制度は、都道府県（または政令指定都市）と市町村という二層構造で成り立っていますが、台湾の地方制度はより複雑な三層構造を採用しています。具体的には、省・直轄市という上位区分の下に、県・市が位置し、さらにその下に県轄市、鎮、郷という区分が存在します。この構造は、日本の明治時代に存在した「郡」が府県と市町村の間で自治体として機能していた状況に類似しています。台湾の「県」は、この「郡」に相当する役割を担っていると言えるでしょう。

しかし、1998年に大きな変化がありました。県の上位に位置していた台湾省が虚省化（事実上の機能停止）されたのです。これにより、台湾の地方行政制度は、日本のような二層構造に近づきつつあります。同様に、福建省も虚省化されています。この省の機能停止は、税収の配分に大きな影響を与えています。直轄市である台北市や高雄市は、省が徴収していた税収を市財政として利用できるようになりましたが、県や市は、その税収を中央政府に徴収されるという状況が続いており、財政上の格差が依然として存在しています。このような財政格差に対する不満から、いくつかの自治体では直轄市への昇格を求める動きが出ています。

台湾の地方行政制度は、歴史的な背景と複雑な構造を持ち合わせています。日本の地方制度と比較することで、その特徴がより明確になります。特に、省の虚省化による税収格差は、今後の地方自治のあり方を考える上で重要な要素となるでしょう。これらの点は、台湾の地方行政制度を理解する上で、不可欠な情報です。

関連情報として、以下の項目も参照してください。

県
台湾の行政区分
台湾省
中華民国の行政区分

これらの情報を合わせることで、台湾の県に関する理解がより深まるでしょう。

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