真宗三門徒派

真宗三門徒派：北陸に根付いた浄土真宗の一派

真宗三門徒派は、浄土真宗の宗派の一つです。福井県福井市にある専照寺を本山としています。その歴史は鎌倉時代後期にまで遡り、親鸞聖人の門弟である真仏の流れを汲む、複雑で興味深い展開を辿ってきました。現在では36の末寺を擁しています。

鎌倉時代後期からの興隆と浄土宗との関わり

真宗三門徒派の起源は、如道（如導）という人物の活動に遡ります。如道は当初、高田派専修寺系の和田門徒に属していましたが、正応3年（1290年）、越前国大町（現在の福井市大町）に大町専修寺を建立し、越前国を中心に近江国、若狭国へと勢力を拡大していきました。

彼の教団は北陸地方で大きな影響力を持つようになり、京都東山の大谷廟堂（後の本願寺）の留守職を務めていた覚如も、如道を自派に取り込もうと試みました。覚如は息子の存覚と共に如道を訪問し、教えを授け、『教行信証』を伝授したと言われています。親鸞聖人の「鏡の御影」の開帳も行われ、如道は覚如の弟子となり、その教団は本願寺派に近いものとなりました。

如道の教えは親鸞作の「三帖和讃」を重視していたことから「讃門徒」とも呼ばれましたが、一方で「浄土三部経」や「六時礼讃」を軽んじているとして、天台宗の孤山から批判を受けるなど、宗派間の対立も生じました。

分派と衰退、そして再興

如道の死後、教団は内紛や浄土宗への傾倒など様々な困難に直面します。如道の長男良如は門徒と共に浄土宗に改宗し、次男如浄も浄土宗に傾倒したため、如道の弟子道性が如浄を説得して真宗にとどまらせるなど、波乱の時代が続きました。

道性は、永和元年（1375年）に如浄が死去した後に、弱体化した教団を立て直すべく、證誠寺に一派（真宗山元派）を設立。さらに、道性の子である如覚が誠照寺に一派（真宗誠照寺派）を設立しました。その後も、大町専修寺は本願寺派との関係や浄土宗への傾倒、内紛などを繰り返し、衰退の一途を辿りました。

しかし、如道の弟子である誓願寺道願の子、浄一が専照寺を建立し、親鸞と如道の教えを継承することで、教団は再興の道を歩み始めます。

戦国時代と近世

室町時代にはそれなりの勢力を誇った三門徒でしたが、戦国時代には本願寺派との主導権争い、戦国大名への対応をめぐる混乱、一向一揆との関与など、厳しい状況に置かれました。

織田信長や豊臣秀吉の時代には、本願寺派との関係、そして織田・豊臣政権との関係の中で、多くの寺院が破壊されたり、本願寺派に吸収されたりしました。

江戸時代に入ると、残った末寺も本願寺派や大谷派に転属するなど、勢力はさらに衰えました。専照寺自身も天台宗妙法院門跡の院家となりました。

明治時代以降

明治時代には一時大谷派に属しましたが、明治11年（1878年）に真宗三門徒派として独立。現在では36の末寺を数え、證誠寺、誠照寺、真宗出雲路派毫摂寺と共に北陸の「四箇本山」を形成し、独自の道を歩んでいます。2020年には宗派名の通称表記を「真宗讃門徒派」に変更しましたが、その後、公称は「真宗三門徒派」に戻っています。

真宗三門徒派は、その歴史の中で幾多の困難を乗り越えてきた、北陸地方に深く根付いた浄土真宗の一派と言えるでしょう。その歴史と教義、そして現在に至るまでの歩みは、日本の仏教史において重要な位置を占めています。

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