真鍋斌

真鍋斌：華族となった陸軍中将の波瀾万丈な生涯

真鍋斌（まなべ あきら）は、1851年（嘉永4年）、長州藩士の子として生まれました。幼少期は熊槌という名前で呼ばれ、明倫館で学んだ後、1866年には、長州藩の精鋭部隊である干城隊に入隊。戊辰戦争を経て、近代陸軍の建設に貢献します。

1870年には大坂兵部省屯所に入営し、1871年には陸軍青年学舎を卒業。その後、陸軍少尉に任官し、陸軍兵学寮や陸軍省の様々な部署で勤務経験を積みました。1877年には西南戦争に出征し、戦場でその能力を発揮します。

西南戦争後も、陸軍省での要職を歴任。歩兵第3連隊長、第4師団参謀長、そして陸軍省の重要な部署である第1軍事課長などを務め、軍における地位を着実に上げていきます。1897年には陸軍少将に昇進。

1900年には、義和団の乱に歩兵第9旅団長として出征しました。しかし、この地で「馬蹄銀事件」と呼ばれる事件に巻き込まれ、清国の馬蹄銀の横領容疑をかけられ、1902年に休職処分となります。この事件によって、将来有望視されていた陸軍大臣への道は閉ざされてしまいました。

馬蹄銀事件による汚名は拭えずとも、真鍋の軍人としてのキャリアは続きます。1904年には留守第5師団長に就任し、1905年には陸軍中将に昇進しました。しかし、翌年には再び休職し、1907年には予備役に編入、その後後備役を経て、1918年に退役しました。

軍人としての道を歩みながらも、真鍋は政治の世界にも進出します。1907年に男爵を叙爵され華族となり、1911年には貴族院議員に就任。さらに1915年には陸軍参政官を務めるなど、軍と政治の両面で活躍しました。

真鍋の生涯は、数々の栄典と勲章に彩られています。旭日大綬章、金鵄勲章など、数々の勲章を受章。また、外国勲章である大清帝国第二等第一竜宝星を佩用する許可も得ています。これらの栄典は、真鍋の軍における貢献と、政治家としての活動が認められた証と言えるでしょう。

真鍋の私生活についても触れておきましょう。養子には真鍋十蔵がおり、後に襲爵しました。十蔵は司法官として活躍し、朝鮮総督府裁判所でも要職に就いています。また、娘婿には陸軍将校である小出覚之助と林二輔がいます。

真鍋斌の生涯は、明治から大正にかけての激動期を生き抜いた、稀有な軍人、政治家の物語です。西南戦争、義和団の乱といった歴史的事件への参加、馬蹄銀事件による挫折、そして華族としての華麗な経歴など、波瀾に満ちた人生を送りました。彼の功績と、その人生の浮き沈みは、日本の近代史を理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。彼の功績は、現代においても再評価されるべきでしょう。

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