真間

真間（まま）

千葉県市川市の北部に位置する真間は、一丁目から五丁目までが行政区域です。この地は、かつて「真間の入り江」と呼ばれた海が深く入り組んだ場所で、その名残として真間川が東西に流れています。北部には国府台から続く台地が広がり、南部には低地が広がっています。この地域は、住宅地としての側面を持ちながら、歴史と自然が調和した独特の景観を形成しています。

地理と景観

真間地区は、東を菅野・須和田、西を国府台、南を市川・新田、北を国分と隣接しています。台地と低地の境界には照葉樹林が広がり、矢切や国府台へと繋がる緑豊かな景観は、市川を象徴するものの一つです。また、低地には黒松が点在し、大正時代には黒松林を生かした邸宅街が開発されました。地域南部には京成電鉄本線が走り、一丁目に市川真間駅があります。

歴史

真間には、古代から人々が生活を営んできた歴史があります。北部台地には弥生時代の環濠集落跡が確認され、真間山弘法寺の境内には、弘法寺古墳や真間山古墳といった古墳が残されています。かつては、この地が下総国府に近い風光明媚な場所であったことが伝えられています。

真間は、手児奈伝説の地としても知られています。江戸時代には、上田秋成の『雨月物語』の一編「浅茅が宿」の舞台にもなり、物語に登場する「真間の継橋」は現在も残っています。この橋は、万葉集や勅撰和歌集にも詠まれ、近代では北原白秋も歌を詠みました。

明治後期から、この地域は京橋や日本橋の大店の別荘地として、また関東大震災後には高級住宅地として発展しました。永井荷風もこの地を愛し、作品の中で真間近辺のことを描いています。また、郭沫若も真間の継橋近くに住んでいたことがあります。大正時代には耕地整理が行われ、真間山と須和田の間が切り開かれました。昭和初期には、朝日キネマ市川撮影所が設置され、映画製作も行われました。

環境保護の取り組み

1991年には、真間地域の照葉樹林がマンション建設のために伐採されそうになりましたが、市民団体の活動により市が買い上げ、保護されることとなりました。1999年には、大正時代の官僚政治家、木内重四郎の別邸跡の開発計画が持ち上がりましたが、開発業者の自主的な判断で斜面林部分が保存されることとなりました。

地名の由来

地名「真間」は、万葉集にも登場する古語「ママ」に由来し、崖や土手の崩れを意味するとされています。

沿革

真間の歴史は、明治維新を経て、1869年に葛飾県真間村となり、その後、印旛県、千葉県と所属が変わり、1889年には市川町の一部となりました。その後、市川市に合併され、1966年に現在の真間一丁目から五丁目となりました。

施設と文化

真間には、市川真間駅、市川真間郵便局、市立真間小学校などの施設があります。また、郭沫若記念館や木内ギャラリーなど、歴史的な施設も点在しています。真間山弘法寺は、樹齢400年の伏姫桜で知られ、桜の名所として親しまれています。また、手児奈霊堂や亀井院などの歴史的な場所も残されています。文学の散歩道もあり、万葉歌碑が設置された手児奈橋など、文学にゆかりのある場所を散策できます。

ゆかりのある人物

真間には、京成電気軌道常務取締役を務めた利光丈平や、伝説上の人物である手児奈など、多くの人物がゆかりを持っています。

真間は、古代からの歴史、豊かな自然、そして文学的な背景を持つ魅力的な地域です。

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