瞎堂慧遠

瞎堂慧遠（かつどう えおん）は、中国南宋時代の臨済宗の僧侶であり、仏海禅師という号でも知られています。崇寧2年（1103年）に生まれ、淳熙3年1月15日（1176年2月26日）に没しました。俗姓は彭氏で、眉州眉山県金流（現在の四川省楽山市夾江県）の出身です。

生い立ちと出家

瞎堂慧遠は13歳の時に出家し、最初は成都の大慈寺で仏教を学びました。その後、成都の昭覚寺に移り、圜悟克勤（えんご こくごん）という高名な禅僧に師事し、その指導のもとで頓悟に至りました。圜悟克勤の没後、慧遠は江南地方に移り、禅の修行と指導に励みました。

霊隠寺の住職と勅号

慧遠の名声は朝廷にも届き、孝宗皇帝の勅命により、乾道6年（1170年）に臨安（現在の杭州）にある霊隠寺の住職に任じられました。霊隠寺は当時、江南における仏教の中心地の一つであり、その住職に任じられたことは、慧遠の禅僧としての力量が広く認められた証と言えるでしょう。乾道9年（1173年）には、孝宗皇帝から「仏海禅師」の号を贈られ、その徳を称えられました。

日本への影響

瞎堂慧遠は、日本における禅の草分け的存在である覚阿（かくあ）の師でもあります。覚阿は慧遠に禅を学び、帰国後に日本で禅宗を広める上で大きな役割を果たしました。また、後に民間の伝承で英雄として語り継がれる済公（さいこう）も、慧遠の弟子の一人でした。

著作

瞎堂慧遠の著作としては、『瞎堂慧遠禅師広録』が残されています。この書は、慧遠の語録や偈頌などをまとめたもので、彼の禅の思想や修行の様子を知る上で貴重な資料となっています。

『瞎堂慧遠[禅]]師広録』:[http://www.cbeta.org/result/X69/X69n1360.htm

参考文献

瞎堂慧遠に関する記述は、『嘉泰普灯録』巻十五にも見られます。これは、南宋時代に編纂された禅宗の僧侶の伝記集であり、慧遠の生涯や思想について知る上で重要な情報源となっています。

『嘉泰普灯録』 巻十五:http://www.cbeta.org/result/normal/X79/1559_015.htm

瞎堂慧遠は、その卓越した禅の指導力と人格によって、多くの弟子を育成し、中国仏教史に大きな足跡を残しました。また、彼の教えは日本にも伝わり、日本の禅宗の発展に貢献しました。

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