矢奈比売神社

矢奈比売神社

矢奈比売神社（やなひめじんじゃ）は、静岡県磐田市見付に所在する神社であり、式内小社としても知られています。一般には見付天神（みつけてんじん）として親しまれ、旧社格は県社にあたります。この場所は多くの信仰を集め、長い歴史を有しています。

祭神について

主祭神は矢奈比売大神であり、その名は『神名帳考証』によると八野若日女命とされています。また、配祀された神々も存在し、菅原大神や火之迦具土神、表筒男神、中筒男神、底筒男神が含まれています。これらの神々はそれぞれ異なる意味を持ち、人々の生活において重要な役割を果たしています。

歴史の概略

矢奈比売神社の創建年については明確な記録がありませんが、文献では840年に文献上の初見があり、825年には従五位下の神階が授けられました。860年には正五位上を授かり、延喜式神名帳にも小社の一つとして記録されています。993年には太宰府天満宮から菅原大神が勧請され、以降「見付の天神様」として地域の人々に崇敬されるようになりました。また、1603年には徳川家康から神領50石の寄進があり、この神社の重要性が示されています。見附宿の鎮守としても有名で、多くの巡礼者や参拝客が訪れる場所です。

霊犬悉平太郎伝説

矢奈比売神社には「霊犬悉平太郎」の伝説があります。この伝説は各地で語り継がれており、地域によって異なる形式を持ちます。見付の里では、毎年8月の初めに「白羽の矢」が特定の家に突き刺さる現象があり、矢を立てられた家の娘が生け贄として捧げられるという恐ろしいしきたりが存在しました。この慣習を破ると田畑が荒れ、凶作になると言われており、村人たちはその運命に苦しみながら従っていました。

1308年8月、雲水と呼ばれる旅の僧がこの祭りに遭遇し、村人の悲しい表情が印象に残ります。疑問を抱いた雲水は祭りの真相を確かめるため、神社に潜んでいたところ、現れたのは恐ろしい怪物でした。その怪物は、村人が守るべき神を名乗りながらも、実は恐ろしい存在であり、娘をさらって去っていきました。雲水はこの事態を解決するべく信濃国へ赴き、悉平太郎という犬の存在を知ります。

光前寺に住む犬を借りることに成功した雲水は、見付に戻り、悉平太郎を娘の代わりに供えました。すると、悉平太郎は怪物と一戦を交え、見事にその怪物を打ち破ります。その正体は歳を経た猿の妖怪であり、村人は悉平太郎の勇敢な行為に心から感謝しました。この伝説がきっかけで、磐田市と駒ヶ根市は1967年から友好都市の関係にあることも紹介されています。

境内と文化財

境内には、霊犬悉平太郎が祀られている霊犬神社も存在し、地域の人々にとって大切な場所となっています。また、矢奈比売神社では重要無形民俗文化財として認定された「見付天神裸祭」が行われており、旧暦8月10日直前の土曜日と日曜日に開催されます。この祭りは神社の祭神が淡海國玉神社へ渡御する神事が中心となっています。それぞれの神社と祭りは、地域の文化や伝統を深く反映した重要な要素と言えるでしょう。

このように、矢奈比売神社は地域の信仰と伝承が根ざした歴史的なスポットであり、多くの人々に愛されています。

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