矢野光儀

矢野光儀（やの みつよし）

1822年（文政5年）に生まれ、1880年（明治13年）9月13日に没した矢野光儀は、幕末から明治初期にかけて活躍した人物です。佐伯藩士として生まれ、後に官吏として地方行政に携わりました。幼名は哲也、程蔵と称しました。

生い立ちと教育

矢野光儀は、豊後佐伯藩士である矢野多門の子として生まれました。幼少期は江戸屋敷で過ごし、塩谷宕陰に書を、長沼笑兵衛に剣術を学びました。父である多門からは厳格な教育を受け、文武両道に励んだとされています。その後、佐久間儀右衛門の娘である駒子を妻に迎えました。

佐伯藩での活躍

佐伯藩では、側役小納戸、浦奉行、御郡代兼町奉行などの要職を歴任しました。これらの役職を通じて、藩政に深く関与し、その手腕を発揮しました。

明治維新後の活動

明治維新後、矢野光儀は新政府のもとで官吏として活躍しました。まず、葛飾県大参事に就任し、1870年（明治3年）には同県の知事に昇進しました。葛飾県知事時代には、治水事業に力を注ぎ、地域の発展に貢献しました。1871年（明治4年）には深津県権令に転任し、その後、小田県令を歴任しました。1874年（明治7年）に官を辞し、東京に移り住んだ後は、園芸を趣味として親しみました。

また、地方民会公選に賛同するなど、当時の進歩的な思想にも共鳴していました。しかし、そのことが原因で1875年（明治8年）に解任されることとなりました。

親族

矢野光儀の親族には、以下のような人物がいます。

岳父：佐久間儀右衛門（佐伯藩国家老）
長男：矢野龍渓（佐伯藩士、官吏、著作家、ジャーナリスト、政治家）
子：小栗貞雄（製薬実業家、政治家）

長男の矢野龍渓は、明治時代にジャーナリスト、政治家として活躍し、著作家としても知られています。子息の小栗貞雄も実業家、政治家として活躍しました。

参考文献

人事興信所 編『人事興信録 第4版』人事興信所、1915年。
小栗又一 編『竜渓矢野文雄君伝』小栗又一、1930年。
日本歴史学会 編『明治維新人名事典』吉川弘文館、1981年。
* 上田正昭ほか 監修『講談社日本人名大辞典』講談社、2001年。

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