小栗貞雄

小栗貞雄

小栗貞雄（おぐり さだお、1861年12月29日 - 1935年3月16日）は、明治時代に活躍した製薬実業家であり、政治家です。

経歴

1861年（文久元年）に豊後国（現在の大分県）海部郡で、佐伯藩士である矢野光儀の子として生まれました。矢野龍渓は彼の兄にあたります。1870年（明治3年）に父とともに上京し、慶應義塾で学びました。また、東洋議政会にも参加し、大学予備門を中退後、立憲改進党の弁士として活躍しました。

その後、三田英学校で講師を務め、1886年（明治19年）には報知新聞社の経営再建のために同社に入社し、ジャーナリストとして才能を発揮しました。

1886年（明治19年）12月、大隈重信や兄である矢野龍渓の強い勧めにより、幕臣小栗忠順の娘である国子と結婚し、婿養子として小栗姓を継ぎました。その後、実業家へと転身し、東京石油株式会社の取締役を経て、アルボース消毒薬を発明し、その製造メーカーである扇橋製薬株式会社を設立して社長に就任しました。しかし、樟脳の専売法施行に伴い、医療事業を台湾総督府に売却することとなりました。

1898年（明治31年）には、第6回衆議院議員総選挙に大分県第二区から憲政本党公認で出馬し当選。衆議院議員として1期を務めました。1900年（明治33年）には、商用で清国へ渡航し、上海を経て天津に滞在中に北清事変に遭遇し、籠城を余儀なくされましたが、籠城期間中の功績が認められ、帰国後には明治天皇から一時金を賜りました。

政界引退後は、実業界で活躍する傍ら、報知新聞などを通じて社会福祉の充実を訴え、産児制限論を発表したり、加藤時次郎、鈴木梅四郎らと共に、社団法人実費診療所を設立するなど、日本における福祉推進、医療の社会化に大きく貢献しました。

人物

小栗貞雄は、優れた商才を持ち、特許を取得して商品を開発することで莫大な財産を築き上げました。兄の選挙活動や政治資金、報知新聞社の運転資金もほとんど彼が賄っていたと言われています。神奈川県国府津に別荘を所有していました。

著作

小栗貞雄 訳『色是空』佐藤成文堂、1889年2月
小栗貞雄、賀来寛一郎『社会改良実論』人民新聞出版部、1903年10月

参考文献

三田商業研究会編 編『慶應義塾出身名流列伝』実業之世界社、1909年（明治42年）6月
『日本史有名人の子孫たち』新人物往来社編　2010年

関連項目

矢野文雄
東郷平八郎

外部リンク

* 『小栗貞雄』 - コトバンク

もう一度検索