知制誥

知制誥（ちせいこう）は、中国の宋、元、明の時代に存在した官職であり、皇帝の命令である制（せい）と誥（こう）を司る者を指します。この官職は、中国の官僚制度の歴史において、重要な役割を果たしました。

起源

制と誥は、いずれも中国の古典である『書経』にそのルーツを見出すことができます。元来、「天子の言葉」を意味する言葉として用いられていました。夏、殷、周の三代においては普通に使用されていましたが、秦の始皇帝が「命」を「制」に、「令」を「詔」に改めた後は、「誥」の語は公式な文書から姿を消しました。唐代に至るまでには、詔、冊、制、勅が皇帝の命令を意味する言葉として定着しました。

翰林院（かんりんいん）は、唐代の初期に設置されました。当初は学問や芸術に秀でた人物を集める機関でしたが、玄宗の時代になると、中書省（ちゅうしょしょう）の事務が煩雑化し、文書の処理が滞るようになりました。この状況を打開するため、翰林学士（かんりんがくし）という役職が設けられ、中書省の一部の機能が分掌されることになりました。翰林学士は次第に重用されるようになり、宰相に匹敵するほどの権力を持つようになりますが、あくまで臨時の官職であり、定員も定められていませんでした。宋代に入ると、詔勅の制度は唐代のものを踏襲し、「誥」が復活し、「制」と並んで使用されるようになりました。そして、制と誥を作成する業務は翰林学士から独立し、新たに知制誥という官職が設けられたのです。

知制誥の変遷

元代になると、知制誥はかつてほどの重要な役職ではなくなりました。明代の初期にもこの官職名は存在していましたが、その役割や地位は時代とともに変化していきました。

参考文献

伊藤東涯『制度通』上(1991年、岩波文庫)
馬端臨撰『文献通考』職官考
紀昀撰『続文献通考』職官考

関連項目

翰林院
* 中書省

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