石の下

石の下（いしのした）

石の下とは、囲碁における手筋の一つで、相手に石を意図的に取らせ、その後に空いた交点に着手する手法を指します。実戦で現れることは稀ですが、詰碁の死活問題においては重要な役割を果たします。この手筋は、相手に石を取らせることで、自身の石を有利な形に導き、最終的に大きな利益を得ることを目的としています。

石の下の基本形

集四型の石の下

集四型とは、四つの石が団子状に集まっている形を指します。この形を利用した石の下の手順を見てみましょう。

1. まず、相手の石を取るように打ちます。この石は、後で相手に取らせるための捨て石となります。
2. 相手が捨て石を取った後、空いた交点に打ちます。これにより、相手の石をさらに取ることができます。
3. この一連の手順で、最終的に自身の石が生きる形を作り出すことが可能です。

この手順の中で、特に「取られた跡のキリ」と呼ばれる手はアトギリ(跡切り)とも呼ばれます。

稲妻型の石の下

稲妻型とは、石が稲妻のように配置された形です。この形を使った石の下の手順は以下の通りです。

1. まず、捨て石を増やします。この際、稲妻型になるように石を配置します。
2. 相手に捨て石を取らせます。
3. 取られた跡の交点にアトギリを打ち、相手の石を取り、生きる形を作り出します。

稲妻型の石の下は、実戦でも比較的現れやすい形です。

実戦における石の下

石の下は実戦で現れることは稀ですが、その中でも稲妻型は比較的多く見られます。例えば、古い棋譜の中には、この手筋を使った例が残っています。

眼を奪う石の下

石の下は、自身の石を生きるためだけに使われるわけではありません。相手の眼を奪って殺す手段としても利用できます。相手に石を取らせ、その後のアトギリで、相手の眼を奪い、石を殺すことができます。

大中手（おおなかで）

中手は、3子から6子を取らせる手筋ですが、7子以上を取らせる場合でも、石の下の手筋で相手を殺せるケースがあります。これを大中手といいます。

類似の手筋

石の下と似た手筋には、ウッテガエシ、ナカデ、ホウリコミ（ウチカキ）などがありますが、これらは実戦に多く現れる基本的なもので、石の下とは区別されます。石の下は、これらの手筋よりも、より複雑で特殊な状況で用いられます。

まとめ

石の下は、一見すると損をするように見える手ですが、最終的に大きな利益を得るための高度な手筋です。実戦ではあまり見られませんが、詰碁の問題を解く上で重要な概念となります。石の下を理解することで、囲碁の奥深さをより一層感じることができるでしょう。

参考文献

赤星因徹　『玄覧』　1846年。
木谷実、久保松勝喜代　『囲碁の研究』　東京博文館、1937年。
石倉昇監修、塚本惠一著　『算月』　亘香通商株式会社、1998年。

関連項目

囲碁
詰碁
取らず三目

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