石井素介

石井素介について

石井素介（いしい もとすけ、1924年1月 - 2017年3月24日）は、日本の経済地理学者として、特に経済地理学やドイツに関する研究で知られる人物です。彼は明治大学の名誉教授であり、経済地理学会の会長を務めた経験も持っています。

経歴

石井は愛媛県の周桑郡小松町（現在の西条市）で生まれました。1943年には第一高等学校を卒業後、東京帝国大学の理学部地理学科に入学しましたが、戦時の中での学生生活を送ることになります。その間には、満洲国での現地調査も経験しました。1946年に大学を卒業した後、彼は内務省国土局計画課に勤務。その後、1948年からは総理府資源調査会の事務局において8年間従事しました。この間、水害調査に特に力を注ぎ、資源論や災害論を研究するきっかけとなります。

1956年には明治大学の文学部史学地理学科の専任講師として採用され、その後1962年には「日本における水害の地理学的研究」により東北大学から理学博士の学位を取得しました。さらに1963年には教授に昇任します。1970年代にはドイツに赴き、ボン大学にて在外研究を行い、その後も何度もドイツを訪れて農村研究に従事しました。また、1976年以降は日独地理学会議の開催に関与しました。

1988年から1994年にかけては経済地理学会の会長として活動し、1994年に大学を定年退職。その際、名誉教授の称号を贈られました。石井は、2013年に急性心筋梗塞にかかり入院生活を余儀なくされましたが、その後も研究論文を発表するなど、研究活動を続けましたやがて2017年に肺炎で入院し、数日後に他界しました。

学問的功績

石井は経済地理学の分野で数多くの著作を残しました。主な著作には単著として『西ドイツ農村の構造変化 社会経済地理学的分析序説』（1986年）や『国土保全の思想 日本の国土利用はこれでよいのか』（2007年）があります。また、編著としては『図説日本の地域構造』（1986年）や『産業経済地理 日本』（1992年）があります。さらに、共著や共編著の形でも多くの業績を発表しており、それらが彼の学問的成果を証明しています。

特に、石井は1970年代以降、ドイツの大学が発行する地理学関係の紀要を収集しており、最晩年にはそれを明治大学図書館に寄贈しました。さらに、図書館の紀要『図書の譜』に自身の研究成果を寄稿しましたが、これが彼の死去の直後に刊行されました。これらの活動を通じて、彼の功績は日本の地理学界に大きな影響を与えました。

石井素介は、地理学の発展に尽力し、多くの後進に道を示した学者でした。その業績は現在でも評価され、多くの研究者に引き継がれています。

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