石川王 (吉備大宰)
石川王について
石川王（いしかわのおおきみ）は、日本の古代史における重要な皇族の一人で、天武天皇の治世に吉備大宰としての役割を果たしました。その系譜については詳細が不明ですが、彼の業績や歴史的な背景は数多くの文献に記されています。
事績
『播磨国風土記』には、石川王が総領として都可の村を広山の里に改名したことが記されています。この事実から、石川王は地域の名に影響を及ぼしたことがわかります。また、『日本書紀』によると、彼は天武天皇8年（679年）の際に吉備大宰としてその時期に死亡したとされています。総領と大宰という役職はほぼ同義と考えられており、石川王は吉備国と播磨国を治めていたと推測されます。吉備国は後に備前国、備中国、備後国、美作国に分かれました。
天武天皇元年（672年）に発生した壬申の乱の際、石川王は近江宮のある大津にいたと考えられています。この乱では、当摩広島が吉備国を守っていたことが『日本書紀』に記されており、乱の後に彼が吉備大宰に任命された可能性が示唆されています。石川王は、天武天皇8年3月9日に吉備で死去し、天武天皇は非常に悲しみ、石川王に諸王二位を贈りました。
大津皇子の脱出
石川王の名前は壬申の乱において、直接的な行動とは関係なく言及されています。大海人皇子（後の天武天皇）の子、大津皇子は父の挙兵を知り、仲間と共に脱出を試みました。6月25日の深夜、大津皇子らは鈴鹿関で大海人皇子が張った封鎖線に遭遇しました。この時、鈴鹿関司は大津皇子らを山部王や石川王であると誤認しました。
この誤認の理由は明記されていませんが、大津皇子が少年であったため、彼の存在を隠すために従者が他の名前を名乗った可能性が考えられています。この場合、山部王と石川王は中立的な立場であり敵味方ともに危険視されなかったのかもしれません。
脚注
石川王に関する情報は、主に古代の文献に基づいていますが、詳細な記録が不足しているため様々な解釈が存在します。彼の重要性は、吉備国の統治や歴史的出来事に深く関与していたことにあります。
参考文献
- - 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』（古代氏族研究会、1986年）
- - 村上正名『備後今昔』、「国司神社と石川王」、備後文化シリーズ（第2集）（児島書店、1970年）
関連項目
石川王の歴史的価値や彼の時代における影響力は、今も尚語り継がれています。彼の存在は古代日本の皇族の一端として理解され、多くの研究が続いています。
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