石川総管

石川総管（いしかわ ふさかね）

石川総管は、常陸下館藩の第9代、そして最後の藩主です。伊勢亀山藩石川家の分家11代目に当たります。

生涯

1841年（天保12年）9月23日、第8代藩主・石川総貨の長男として誕生しました。1849年（嘉永2年）11月18日、家督を継ぎ藩主となりました。当初は雁間詰という役職に就いています。1855年（安政2年）12月16日には、従五位下・若狭守に任官しました。その後、1857年（安政4年）3月10日に大坂加番を命じられます。

幕末の動乱期には、幕府の要職を歴任しました。1866年（慶応2年）6月15日に講武所奉行に就任し、同年8月17日には陸軍奉行並を一時的に兼任することになります。さらに同年10月15日には、再び陸軍奉行並に任じられました。1867年（慶応3年）1月19日には、若年寄兼陸軍奉行という要職を務めることになります。

しかし、1868年（慶応4年）1月23日に陸軍奉行を解任され、同年2月19日には若年寄も辞任しました。戊辰戦争においては、幕府の要職を歴任していたため佐幕派としての立場でしたが、最終的には新政府側に協力する決断をしました。同年4月17日、旧幕府軍の内藤隼人（土方歳三）隊が下館に侵入した際には、軍資金200両を贈って難を逃れました。しかし、新政府軍から協力を求められると、進退に窮し、4月20日夜明けに下館を脱出し、翌日には水戸の吉田薬王院に身を寄せました。宇都宮を中心とした戦いで新政府軍が勝利した後、5月19日にようやく下館に帰還しました。

その後、新政府軍の一員として活動しました。鳥羽・伏見の戦い当時、若年寄以上の幕閣は新政府から責任を追及され処分されることがありましたが、総管は早い時期から新政府に協力的な態度を示していたためか、若年寄としての責任追及や処分は記録されていません。

1869年（明治2年）6月、版籍奉還により下館藩知事に就任しますが、その後の廃藩置県により免官となりました。1877年（明治10年）8月には、隠居と位記返上を願い出て、同年9月に隠居し、家督を長男の重之に譲りました。

1882年（明治15年）からは下館に隠棲しましたが、1899年（明治32年）に東京芝愛宕下の屋敷で亡くなりました。享年59歳でした。なお、1884年（明治17年）には、華族令によって長男の重之が子爵を授けられましたが、1887年（明治20年）4月に爵位を返上し、1899年（明治32年）に再度子爵となっています。

系譜

父母
父：石川総貨

子女
長男：石川重之

石川総管は、幕末の激動期に藩主として、また幕府の要職を担い、その後の明治維新という大きな変革期を生き抜いた人物です。彼の生涯は、時代の流れに翻弄されながらも、自らの立場を見極め、新しい時代へと進んでいく姿を物語っています。

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