石川緑

石川緑の生涯と業績

プロ野球選手、石川緑（いしかわ みどり）は、1934年5月10日に愛知県豊川市に生まれ、本名は伊藤緑郎（いとう ろくろう）です。彼は、1960年代に中日ドラゴンズおよび阪神タイガースで活躍したピッチャーとして知られています。愛称は「ミドリ」です。

来歴とキャリア

石川は愛知県立国府高等学校を卒業後、1954年に中日ドラゴンズにテスト入団しました。デビュー初年度の1955年には一軍に昇格し、3勝を挙げましたが、その後のシーズンでは一軍での出場機会が限られました。しかし、1960年にアンダースローに改造し、多くの投球回数をこなす中で13勝を挙げ、防御率は2.36という優れた成績を記録します。

ところが、翌1961年は成績が落ち込み、3勝にとどまったため、その年のオフに阪神タイガースに金銭トレードされました。移籍初年の1962年は5勝に終わったものの、日本シリーズでは中継ぎとして3試合に登板。しかし1963年は結果を挙げ、9勝を記録し先発投手に定着します。1964年には自身初の2桁勝利を達成し、さらにはリーグ優勝にも貢献しました。

1964年9月30日、中日戦で完投勝利を収め、その試合での勝利投手として胴上げされるシーンは印象深いものとなりました。この年、南海ホークスとの日本シリーズでも活躍し、良いピッチングを見せました。翌1965年も10勝を挙げ、活躍は続きますが、1966年は成績が落ち、1967年には防御率が6点台にから下がるなど、彼のキャリアは揺れ動きました。

劇的な試合とその影響

石川のプロゴルフ生活の中で特に注目される出来事は、1964年6月30日の広島市民球場での試合です。彼が広島の走者に対して一塁への送球を試み、その際の捕球が審判との間で論議を呼びました。石川は直接捕球したと主張しましたが、審判は間接捕球とし、その結果試合が長時間中断され、暴動が起こる事態に至りました。この事件は、観客の激しい抗議や球場設備の破壊を招き、広島市民球場で予定されていた3試合が全て中止となる結果に繋がりました。

選手としての特徴

石川のピッチングスタイルは、アンダースローから繰り出されるチェンジアップやカーブ、シュートが武器でした。しかし、捕球やフィールディングの動きはぎこちないとされており、彼のプレースタイルを特徴付けていました。彼は使い勝手の良い選手として知られ、1962年には三者連続三球三振を記録するなど、瞬発力を見せました。しかし、先発としての立ち上がりには難があり、早い段階で失点する試合も多くありました。

私生活と影響

幼少期に両親を亡くした石川ですが、性格は温厚で笑顔を絶やさない人物でした。共にプレーした本間勝は、石川を「皆に慕われた“エエ恰好シイ”」と表現しています。このような人柄は、チームメイトのみならず多くのファンから愛されました。

2004年4月20日、石川は筋萎縮性側索硬化症による呼吸不全で69歳の生涯を終えました。野球界に残した功績は今なお語り継がれています。

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