石谷信号場

石谷信号場（いしやしんごうじょう）

石谷信号場は、北海道茅部郡森町本茅部町に所在する、北海道旅客鉄道（JR北海道）函館本線の施設です。電報略号はイヤ、事務管理コードは▲140116が与えられています。旅客営業を行っていた時期にはH60の駅番号が付与されていました。

歴史

現在の函館本線の一部である森駅と熱郛駅間が開業した1903年（明治36年）当時、森駅から石倉駅までの約12キロメートルには駅が一つも存在しませんでした。この区間に位置する濁川、本茅部、蛯谷（えびや）の三つの集落の住民は、1921年（大正10年）頃から停車場の設置を強く求める活動を始めました。

請願活動は継続され、特に蛯谷地区からの声は1923年（大正12年）に再び高まりますが、この時点では実現に至りませんでした。1928年（昭和3年）になると、列車の運行上の必要性から、森駅と石倉駅の間に停車場を設ける必要性が認識されます。同年11月には、蛯谷および隣接する鷲ノ木地区の住民が、蛯谷と本茅部の間に新たな駅を設置するよう請願を行います。一方で、下濁川（現在の石倉町）、本茅部、上濁川（現在の濁川）の住民は下濁川への駅設置を請願し、地域内で意見の対立が生じました。

1929年（昭和4年）6月、鉄道省内で、貨物列車の運行緩和を目的として、森駅と石倉駅の間に信号場を設ける計画が密かに進められます。同年10月には、蛯谷地区に信号場が新設されることが正式に決定しました。これに対し、濁川地区は当初失望しましたが、その後は蛯谷地区と協力し、信号場を停車場に昇格させることを目指すようになります。この過程が、後の本石倉駅の設置へと繋がることになりました。

そして1930年（昭和5年）3月20日、国有鉄道函館本線の石谷信号場として正式に開設されました。

信号場開設後まもなく、地域住民の便宜を図るため、旅客や貨物の扱いが非公式に行われるようになります。開設翌年の1931年（昭和6年）5月11日からは、上り・下りそれぞれ1本の列車が停車し、旅客の乗降と貨物の取り扱いが便宜的に認められました。当時、一日に30人から40人の乗降希望者がいたとされています。さらに1934年（昭和9年）には、年間約3万人の乗降客があり、水産物の取り扱い額も年間50万円に達していたと記録されています。

地域からの停車場昇格の要望は実を結び、1946年（昭和21年）4月1日には石谷駅へと正式に昇格しました。これにより、旅客、荷物、貨物の扱いが正規に開始されます。1949年（昭和24年）6月1日には日本国有鉄道が発足し、その管理下に移りました。

貨物扱いは1960年（昭和35年）5月25日に廃止され、その後荷物扱いも1984年（昭和59年）2月1日に終了しました。駅の無人化は1986年（昭和61年）11月1日に行われています。1987年（昭和62年）4月1日には国鉄分割民営化に伴い、北海道旅客鉄道（JR北海道）の駅となりました。2007年（平成19年）10月1日には駅ナンバリングが導入されました。

函館本線の複線化も進められ、1971年（昭和46年）9月21日には桂川信号場から当駅間が複線化されました。続く1973年（昭和48年）12月11日には当駅から石倉駅間が複線化されますが、当駅から約2km手前までは暫定的に単線のままでした。この暫定単線区間も1974年（昭和49年）10月31日に複線化され、当駅を含む区間が複線として整備されました。

しかし、時代の変化とともに利用客は減少し、2021年（令和3年）には翌年のダイヤ改正での廃止が検討されていると報じられました。そして2022年（令和4年）3月12日、利用客の減少とダイヤ改正に伴い、旅客扱いが終了しました。これにより、石谷駅は再び石谷信号場となり、列車待避等の運行上の役割を担い続けています。

名称の由来

信号場の名称は、当初「蛯谷」とする計画がありましたが、建設途中の1929年（昭和4年）には「茅部」とする陳情もなされていました。最終的には、信号場の北方に位置する「石倉」集落と南方に位置する「蛯谷」集落からそれぞれ一文字を取り、「石谷」と名付けられました。「蛯谷」という地名は、アイヌ語の「エピヤコタン（e-pi-ya-kotan）」、すなわち「そこに小石がある岸の村」に由来すると考えられています。

構造

現在の石谷信号場は、旭川方面に向かって左側から、下り本線（3番線）、上下列車が利用できる副本線（2番線）、上り本線（1番線）の計3線を有しており、列車交換や追い抜きのための待避が可能です。旅客駅として営業していた時代は、上り本線に面した木造駅舎と、下り本線および上下副本線に挟まれた島式ホームの、合計2つのホームがありました。これらのホームは構内踏切で結ばれていました。

周辺

周辺には国道5号線が通っています。かつては森町立石谷小学校がありましたが、現在は休校中です。近くには蛯谷川が流れ、函館バスの「石谷駅前」停留所が利用できます。

隣接する駅としては、JR[函館本線]]で森駅(H62)と石倉駅]があります。かつては森駅と石谷駅の間に桂川駅(H61)が、石谷駅と[石倉駅の間に[[本石倉駅]が存在しましたが、これらはいずれも廃止されています。

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