碓氷バイパス

碓氷バイパス（うすいバイパス）は、群馬県安中市松井田町横川から長野県北佐久郡軽井沢町に至る、国道18号の一部を構成する主要な道路です。全長は約17.3キロメートルに及び、群馬・長野県境を越えるこの区間は、古くからの難所であった碓氷峠経由の現道に代わる重要なルートとして機能しています。

このバイパスは、国道18号の現道から群馬県安中市松井田町横川で分岐し、長野県北佐久郡軽井沢町において軽井沢バイパスと接続しています。起点側は安中市松井田町横川、終点側は軽井沢町長倉字大小丸に位置します。名称には「碓氷」と冠されていますが、実際に越えるのは碓氷峠ではなく、標高1,030メートルほどの入山峠です。

道路規格としては「2種山地」に分類され、設計速度は時速50キロメートルに定められています。最低曲線半径は60メートル、最も急な勾配は8パーセントです。全体で45箇所のカーブが存在し、碓氷峠を通る旧道に比べれば改良されているものの、安中市側の横川から峠にかけては、ヘアピンカーブや片勾配を伴う長い急坂が連続するという特徴を持っています。

安全確保のため、全区間において最高速度は時速50キロメートルに制限されており、追越しを目的とした右側部分へのはみ出し通行、および駐停車は禁止されています。特に群馬県側の急勾配が続くカーブ区間では、転回も禁じられています。一方で、上り区間には登坂車線が完備されており、遅い車両の後続につくことなく走行できるよう配慮されています。また、休憩やチェーンの着脱などのための待避所やチェーン着脱所が複数箇所に設けられているほか、下り坂区間にはブレーキが故障した車両のための緊急退避所も複数設けられています。

トンネルは起点近くに「霧積隧道」が一本存在するのみです。このトンネルの上部を旧道が通っています。トンネルを抜けて碓氷川を渡ると、群馬県道・長野県道92号松井田軽井沢線が合流し、ここから約2.5キロメートルにわたって県道との重複区間となります。

信号機は、終点である南軽井沢交差点にのみ設置されています。この交差点周辺は、夏季の観光シーズンを中心に交通量が大幅に増加し、渋滞が発生する場合があります。

かつてこのバイパスは有料道路として運営されており、その料金所跡地は、現在、国土交通省高崎河川国道事務所の軽井沢除雪ステーションとして活用されているほか、トイレを備えたチェーン着脱所としても利用されています。有料時代の通行料金は車種によって異なり、例えば普通自動車は210円、小型二輪自動車や軽自動車などは50円でした。

沿革

碓氷峠を越える従来の国道18号は、1930年代には舗装されるなど早期に整備が進められていましたが、184箇所もの急カーブが存在する極めて困難な区間でした。自動車交通量の増加に伴い、旧道の許容量が限界に近づいたため、第二次世界大戦後に新たなバイパスを建設する計画が具体化しました。

数年にわたる慎重なルート選定の結果、旧道より大幅に南側を通る入山峠越えのルートが採用されることになりました。工事は1966年7月14日に始まり、1971年10月30日に完成、そして同年11月11日に開通しました。建設にかかった事業費は35億1000万円でした。

開通当初、碓氷バイパスは日本道路公団が管理する有料道路でした。しかし、30年間の料金徴収期間が満了した2001年11月11日午前0時をもって無料開放されました。有料期間中の総事業費約95億円のうち、約53億円が料金収入によって回収されたとされています。

その他

過去には痛ましい事故も発生しています。2016年1月15日には、安中市側から数えて43番目のカーブで大型バスがガードレールを突破し道路脇に転落、乗員乗客41人全員が死傷する事故が起きています。

管理は現在、国土交通省関東地方整備局高崎河川国道事務所が行っています。利用者の声としては、カーブが多く冬期には路面凍結の恐れもあることから、運転に慣れていないドライバーにとっては慎重な運転が求められる道であるという意見もあります。このため、一部のバス会社では上信越自動車道を利用し、このバイパスを避ける場合もあるようです。

交差する主な道路には、群馬県道・長野県道92号松井田軽井沢線や、群馬県道・長野県道43号下仁田軽井沢線があります。

関連項目としては、バイパス道路全般や日本のバイパス道路一覧、関東地方の道路一覧、無料開放された道路一覧のほか、このバイパスを経由するバス路線である「碓氷線」、並行する高速道路の上信越自動車道、そして有料道路時代に起点付近に存在した碓氷パーキングエリアなどが挙げられます。

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