碓氷線

碓氷線（うすいせん）

碓氷線（うすいせん）は、ジェイアールバス関東（JRバス関東）小諸支店が運行するバス路線で、主に群馬県安中市の横川駅と長野県軽井沢町の軽井沢駅間を結んでいます。この路線は、旧信越本線の難所「碓氷峠」を越えることから、「横軽線（よこかるせん）」という愛称でも知られています。

鉄道の廃止代替として

この路線の始まりは、1997年10月1日の北陸新幹線（当時：長野新幹線）の高崎駅 - 長野駅間開業に伴う、並行する東日本旅客鉄道（JR東日本）信越本線の横川駅 - 軽井沢駅間の鉄道廃止に遡ります。鉄道の廃止代替バスとして開設されたため、当初は特定の名称がなく、時刻表では単に「横川 - 軽井沢バス」と表記されていましたが、後に正式に「碓氷線」という名称が定着しました。一般的な乗合バスとは異なり、法的には貸切免許を用いて運行される点が特徴です。

運賃の変遷と支払い方法

開業時の片道運賃は大人460円で、これは廃止された鉄道運賃（230円）の約2倍という、代替バスとしての政策的な価格設定でした。その後、利用状況の変化などを受け、2003年 8月1日には500円に値上げされました。さらに、消費税率改定を経て、2014年 4月1日には510円、2019年 10月1日には大人運賃のみ520円と段階的に引き上げられています。運賃はバス乗車時に支払う前払い方式です。鉄道線との連絡運輸の扱いはなく、Suicaなどの交通系ICカードや青春18きっぷは利用できません。ただし、車内では回数券を購入することが可能です。

運行ルートとダイヤ、接続

通常便は、国道18号線を通る碓氷バイパスを経由して運行されます。このルートでの横川駅 - 軽井沢駅間の所要時間は約34分で、現在は1日あたり7往復の便が設定されています（2012年以降）。ただし、大型連休などで碓氷バイパスが激しく渋滞する場合など、混雑状況によっては、通常便であっても旧道へ迂回して運行されることがあります。軽井沢方面から横川駅へ向かう便が、碓氷バイパスの渋滞などで到着が遅れた際には、横川駅で接続するJR 信越本線（高崎方面）の列車が、乗り換え客を待って発車することが比較的よく見られます。一方、しなの鉄道線への乗り継ぎにおいては、接続を待つことは少ない傾向にあります。

路線の歴史

碓氷線は開業以来、利用状況や社会情勢に合わせて様々な変更が行われてきました。1997年10月1日の開業当初は1日7往復でしたが、翌1998年 12月8日には平日10往復、土休日12.5往復と増便され、途中の停留所（入山、成沢）も新設されました。しかし、2000年 12月2日には平日の便数が8往復に減便され、2012年 3月17日以降は平日・土休日ともに1日7往復での運行となっています。運賃改定は前述のように複数回行われました（460円→500円→510円→520円）。観光需要への対応としては、1999年 4月18日に旧道を経由する観光路線の「めがねバス」が運行を開始しましたが、2008年 10月18日には旧道経由の一部の停留所が廃止されています。また、2011年3月1日には往復割引の制度が廃止されています。比較的新しい動きとしては、2019年 4月20日より、旧道経由の観光需要をさらに細やかに拾うため、「めがねバス」を補完する位置づけで、横川駅と熊ノ平駐車場を結ぶ「碓氷旧道シャトルバス」が特定の運行日に設定されました。

派生系統：めがねバスと旧道シャトルバス

碓氷線には、旧道を経由する派生系統として、観光色の濃い「めがねバス」と、区間を限定した「碓氷旧道シャトルバス」があります。「めがねバス」は、横川駅から坂本宿、くつろぎの郷などを経由し、国の重要文化財である碓氷第三橋梁（通称：めがね橋）のそばを通り、熊ノ平駐車場や熊ノ平を経て軽井沢駅までを結びます。このルートでの所要時間は約42分で、主に大型連休、夏休み期間、秋の紅葉シーズンといった特定の観光シーズンに限定して、1日1往復のみ運行される特別な便です。一方、「碓氷旧道シャトルバス」は、横川駅から「めがね橋」最寄りの熊ノ平駐車場までの区間を旧道経由で運行する系統です。こちらも運行期間は限定されており、2019年度からは特定の運転日に1日5往復が設定されています。このシャトルバスには、より小型の中型バス（いすゞ・ガーラミオなど）が使用されることがあります。

使用車両について

碓氷線で使用されるバス車両は、すべてJRバス関東の小諸支店に所属しています。これらの車両は、碓氷線の運行のために小諸支店から軽井沢駅まで回送されるほか、小諸支店が運行する他の路線、例えば佐久平駅と高峰高原を結ぶ高峰高原線や、安中市内の私立高校のスクールバスと共通で運用されるダイヤも存在します。開業当初は貸切バスタイプの車両が使用されていましたが、その後、一般的な路線バスタイプの車両（前方のドア1か所）や、高速バスなどにも用いられるハイデッカータイプの車両も投入されるようになりました。かつては当路線向けに専用車両も導入されましたが、現在は貸切登録され「びゅうバス」としてのツアー運行などにも用いられる日野セレガといった車両も碓氷線の運用に入る姿が見られます。一般路線タイプの車両の場合、運転席の後方にある最前列の助手席側の一人掛け座席を除き、ほとんどが二人掛けの座席配置となっており、通路側には補助席も備え付けられています。夏休みや紅葉シーズンなど、特に多くの利用が見込まれる時期には、混雑緩和のために続行便（追加のバス）が運行されることもあります。

碓氷線は、鉄道廃止後の地域交通として、また旧道を経由する観光路線として、多角的に利用されています。歴史の中で変化を重ねながら、横川と軽井沢を結ぶ役割を担い続けています。

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