碧海電気鉄道デ100形電車

碧海電気鉄道デ100形電車の概要

碧海電気鉄道デ100形電車は、名古屋鉄道（名鉄）の前身となる碧海電気鉄道が1926年に製造した電車です。この電車は、かつての西尾線の前身にあたる碧海電気鉄道線の開業に備えて作られました。デ100形は、名古屋市の日本車輌製造で製造され、比較的小型の木造車体で構成されています。

製造経緯

碧海電気鉄道は、愛知県の碧海郡矢作町から明治村を結ぶ11.6kmの地方鉄道線を建設する目的で1925年に設立された会社です。愛知電気鉄道岡崎線を支える形で、岡崎線の今村（現在の新安城）から分岐し、米津に至る区間が開通し、現在の名鉄西尾線の一部となっています。デ100形はその第一期線開業に向けて、1926年7月に竣工しました。

最初に製造されたのはデ101形からデ103形の3両で、制御電動車としての機能を持っています。これらの車両は、当時の私鉄電車として一般的な平妻シングルルーフのデザインを採用し、床下にはトラスロッドが装備され、長さ13メートル前後の木造車体を持ちます。

車体の特徴

デ100形の車体は、最大寸法が全長13,410mm、全幅2,464mm、全高3,693mmで、3ドア構成となっています。客用扉は両端が840mm、中央が732mm幅と異なる設計です。また、側窓は1段上昇式で、日よけのための鎧戸も備えられています。内部にはロングシートが設置され、照明には当時の白熱電球が使われました。

このデザインは、愛知電気鉄道の電6形を参考にしつつ、全体的に小型化されています。製作時期の関係から標準的な設計と比べ、幾分古いスタイルが見られます。日本車輌製造による設計番号も確認されており、当時の技術が凝縮されています。

機器と性能

デ100形は、ウェスティングハウス社製の制御器を使用し、アメリカ製とドイツ製の機器を混在させた設計が特徴です。主電動機にはドイツのAEG社製の直流電動機が用いられ、各台車には2基ずつ取り付けられています。台車は日本車輌製造がアメリカのデザインを模倣したもので、ローラーベアリングを使用するなど、当時としては先進的な仕様となっています。

運用の歴史

デ100形は、1928年に愛知電気鉄道に譲渡され、形式名もデハ1010形に変更されました。その後、この電車は貨物運用も行い、1935年の名岐鉄道との合併で名古屋鉄道に所属となります。1941年にはモ1010形に再改番され、その後は付随車として使用されることになりました。

戦後も様々な改造が施され、名古屋鉄道の電車として三河線や竹鼻線などで運用されていましたが、1962年に全車が廃車となり、その役目を終えました。デ100形電車は、名鉄の発展において重要な役割を果たした歴史的な存在と言えるでしょう。

まとめ

碧海電気鉄道デ100形電車は、名古屋鉄道の形成に寄与した重要な車両であり、そのデザインや技術は当時の私鉄電車の特徴が反映されています。支線での運用や改造の歴史を経て、その役割を果たしたこの電車は、鉄道史の中で大切な位置を占めています。

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