社会大衆党 (韓国)

社会大衆党：韓国第二共和国時代の革新政党

1960年、韓国では4・19革命によって李承晩政権が崩壊し、第二共和国が成立しました。この激動期に生まれた革新政党の一つが、社会大衆党です。本稿では、その創党から解党までの経緯、掲げた政策、そして韓国政治史における位置づけを詳細に解説します。

創党と理念

社会大衆党は、旧進歩党の幹部や民主革新党の一部メンバーが中心となり、1960年6月17日に創党準備委員会を組織、同年11月24日に正式に発足しました。

その結成宣言は、4・19革命の精神を継承し、反動勢力や日和見主義的な保守勢力と戦うことを明確に表明。農民、労働者、知識人、中小企業者、そして良心的資本家など、幅広い層を代表することを謳っていました。ただし、それは階級闘争を意味するものではなく、民主革命の完遂、平和的統一、民主的福祉社会の実現を目標として掲げていました。

政策

社会大衆党は、具体的な政策として以下の項目を打ち出しました。

統一と外交政策: 国連の監視下における自由選挙を通じた平和的統一、国際協調など。
4・19革命完遂政策: 3・15不正選挙に関わった者の処罰、不法蓄財の没収など、革命の成果を確実なものにするための政策。
農漁村振興政策: 不在地主の土地兼併の違法化、主要農産物の価格保証制度など、農村経済の安定化を目指す政策。
経済政策: 計画経済と自立経済を融合させた、計画性のある経済体制の確立。

これらの政策は、当時韓国社会が抱えていた様々な問題、特に経済格差や土地問題、そして国家統一への課題を解決しようとするものでした。

第5代総選挙と解党

1960年7月29日に行われた第5代総選挙で、社会大衆党は民議院で4議席、参議院で1議席を獲得しました。しかし、その勢力は長くは続きませんでした。

1961年5月16日、朴正熙を中心とする軍部がクーデター（5・16軍事クーデター）を起こし、国家再建最高会議による軍政が敷かれました。社会大衆党は、この軍政によって政治活動を禁止され、解党を余儀なくされました。

歴史的意義

社会大衆党は、短期間の活動でしたが、4・19革命後の韓国政治において重要な役割を果たしました。革新勢力の再結集を図り、民主主義と福祉国家の実現を目指した同党の活動は、後の韓国民主化運動にも影響を与えたと言えるでしょう。また、5・16軍事クーデターによって解党されたという歴史的経緯は、韓国の民主主義発展における大きな転換点を示す出来事の一つです。その後の韓国政治は、軍事政権の時代へと突入し、民主化への道のりは長く険しいものとなりました。社会大衆党の歴史を振り返ることは、韓国民主主義の歩みと、その困難な道のりを理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。

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