社会発展国民運動

社会発展国民運動（MNSD）とは

社会発展国民運動（MNSD）は、ニジェールの中道右派に位置する政党です。フランス語ではMouvement national de la société de développementと表記され、MNSDと略されます。党名の後ろにNassaraと付記されることもあります。英語ではNational Movement for the Development of Societyと表記されます。

MNSDの成立と初期

MNSDは、1987年11月にアリー・セブ率いる軍事政権「最高軍事評議会」が成立した背景のもと、1989年に軍政の支持基盤として、また唯一の合法政党として設立されました。1989年12月には民政移管を控えた大統領選挙が行われ、MNSDのアリー・セブが当選し、最高軍事評議会は廃止されました。しかし、複数政党制を求める声が強く、1990年11月に複数政党制へと移行しました。

[1991年]]のMNSD議長選では、元最高軍事評議会議員のタンジャ・ママドゥが、ムムニ・アダム・ジェルマコワイ元外務国際協力相を破り当選しました。1993年の大統領選にはママドゥが出馬しましたが、その前哨戦となる1993年2月の議会選で、野党6党の政党連合である変革勢力同盟がMNSDを破り、3月の大統領選でも民主社会会議]の[[マハマヌ・ウスマン党首が当選し、MNSDは敗北を喫しました。

議会選勝利とコアビタシオン

一度は下野したMNSDですが、1995年1月の議会選では、対立していたニジェール民主社会主義党(PNDS)と野党連合を結成し、勝利を収めました。首相にはMNSDのハマ・アマドゥ書記長が就任し、ウスマン大統領とアマドゥ首相によるコアビタシオンが成立しました。しかし、この中で両者は激しく対立し、政局の混乱と不安定化を招きました。

1996年1月にはイブライム・バレ・マイナサラ陸軍参謀長率いるクーデターにより軍政が復活し、ウスマン大統領とアマドゥ首相はともに解任され、MNSDを含む政党活動は厳しく制限されました。1996年7月に行われた大統領選挙で、MNSDはママドゥを擁立しましたが、結果は第3位に終わりました。この結果を不服とし、MNSDは同年11月の議会選をボイコットしました。

3度目の大統領選とママドゥの勝利

1999年4月には再びクーデターが発生し、マイナサラ大統領が殺害され、ダオダ・マラム・ワンケ率いる軍事政権「国家和解評議会」が成立、議会は解散され憲法も停止となりました。同年10月に行われた大統領選挙で、ママドゥが当選し、6年ぶりにMNSD出身の大統領が誕生しました。ママドゥにとっては、3度目の大統領選挙にしてようやく勝ち取った勝利でした。2位は既にMNSDとの連合を解消していたPNDSのマハマドゥ・イスフ元首相でした。また同年の議会選でもMNSDは旧反対勢力CDSと連立し、議会多数派を形成しました。これに伴い、アマドゥが首相の座に返り咲きました。

大統領選挙での当選により、ママドゥはMNSD議長の座を離れ、ハミドゥ・セク暫定議長を経て、2001年12月にはアマドゥ首相(元MNSD書記長)がMNSD議長に就任しました。2004年11月から12月にかけて行われた大統領選では、ママドゥが再選され、PNSDのイスフ元首相を再び破りました。ですが同時期に行われた議会選では、MNSDは第1党の座を守ったものの、113議席中47議席を獲得するに留まり、CDSとの連立で辛うじて過半数を維持することとなりました。

内閣不信任とアマドゥの退陣

2007年5月31日、野党勢力が、教育基金の資金をアマドゥ首相が横領したという主張を行い、野党勢力はもちろん、連立相手のCDSからも非難され、内閣不信任決議案が可決されました。アマドゥは首相職を辞し、ママドゥは後任首相に同じくMNSD党員であるセイニ・ウマルを任命しました。ウマルはアマドゥ内閣で序列第3位の設備担当相を務めていました。そして2008年11月、党議長職がアマドゥからウマルへと移りました。

ウマルは2009年10月20日に予定されている議会選に出馬するため、同年9月23日に辞職。正式な後任首相は即座には任命されず、アルバーデ・アブーバ内相兼MNSD書記長が首相代行を務めることとなりましたが、第二次アマドゥ内閣で財務相を務めたアリー・バジョ・ガマティエ(MNSD党員)が10月2日に正式な後任首相に就任しました。

MNSDは、ニジェールの政治において重要な役割を果たしてきた政党です。その歴史は、軍政から民政への移行期、複数政党制の導入、コアビタシオン、クーデターなど、ニジェールの政治的変遷と深く結びついています。

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