祁山の戦い

祁山の戦い

祁山の戦い（きざんのたたかい）は、中国の三国時代に起きた重要な戦闘であり、231年2月から6月にかけて、蜀漢の諸葛亮と魏の司馬懿との間で繰り広げられました。この戦いは、現在の甘粛省南東部の祁山を中心に行われ、蜀漢の侵攻に対する魏の防衛が試みられました。

戦いの背景

魏軍は諸葛亮の攻撃に対して街亭の戦いや陳倉の戦いで何度も退けられていましたが、229年には諸葛亮が武都郡や陰平郡を制圧し、魏にとって脅威となる存在となりました。これを受けて、魏は230年に大軍をもって蜀漢を攻めるも、悪天候に見舞われて失敗します。これに対抗する形で、蜀軍は司馬懿が療養中である隙をついて再び北伐を行うことを決意し、231年の春に大規模な軍を編成しました。食料輸送の問題を解決するために新しい輸送手段「木牛」を使用し、万全の準備を整えました。

戦闘の流れ

諸葛亮は軍を祁山に進出させ、敵将である司馬懿に対抗するために、北方からの鮮卑族軻比能に自軍の呼応を強化しました。魏の大将軍・司馬懿は長安に駐留し、張郃や郭淮などの部隊を指揮下に置いていましたが、いざ戦闘が始まると強い抵抗を示すことができませんでした。

開始早々、蜀軍は魏の魏平・賈嗣を包囲し、司馬懿は援軍を派遣しましたが、諸葛亮の巧妙な戦術に翻弄されました。彼は見せかけの包囲を緩め、魏軍の上邦を襲撃して食料を確保しました。これに対し、司馬懿は急いで戻りますが、蜀軍の巧妙な作戦により、彼との直接対決は避けられました。

祁山の防衛と魏軍の動揺

戦闘が続く中、司馬懿は蜀軍に対して積極的に攻撃を仕掛けることができずにいました。魏の兵士たちは、士気が低下し、諸葛亮の強攻に対して不満が高まりました。食糧不足が深刻化してきたことも影響し、魏軍内では救援の要請が増える一方、司馬懿はそのプレッシャーに苛まれていきます。最終的に、5月になると司馬懿は渋々ながらも蜀軍に対して出撃を決意し、戦闘が再開されます。この際に、蜀軍は防御体制を強化し、司馬懿の軍に大打撃を与えました。

兵糧不足と撤退

蜀軍の奮闘にも関わらず、持続的な戦闘は兵糧不足によって困難となりました。特に長雨が続き、食料供給が滞った結果、諸葛亮は6月に撤退を決定します。司馬懿は追撃を試みますが、張郃は命令に反抗し、撤退する敵に追撃をかけるべきではないと主張しました。しかし、司馬懿はその命令を強行し、張郃は撤退中の蜀軍に追いついてしまいます。ここで蜀軍は伏兵を待ち構えており、張郃は射撃により重傷を負い、戦死しました。

戦後の影響

この戦いの結果、張郃を失った魏は士気を削がれ、諸葛亮は撤退を成功させました。しかし、その後の蜀内部での動きでは、李厳が諸葛亮を責める動きが発生し、彼は最終的に免官される結果に至ります。司馬懿は蜀軍を食い止めたことで官位が引き上げられるも、曹叡は張郃の死を嘆きました。蜀軍はこの戦い以降、234年まで大規模な北伐を控えることになりますが、準備をしっかり整え、次の出撃に向けて計画を進めていくこととなります。

このように、祁山の戦いは蜀漢と魏の間における戦略、戦術、そして内部政治が絡んだ複雑な戦闘であり、多くの教訓を残しました。

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