軻比能

軻比能の生涯と影響

軻比能（かびのう）は、後漢末期から三国時代にかけて活動した鮮卑族の大人（部族長）で、附義王という封号を持っていました。彼の生涯は、弱小な種族から出発し、大きな影響力を持つ立場にまで成長していく過程を描いています。

出身と初期の活躍

彼は元々、鮮卑の中でも力を持たない部族に生まれましたが、優れた指導力を持っていたために人々に推され、大人として迎え入れられました。軻比能は勇敢で公正な判断を下す人間であり、財物をむさぼることはありませんでした。そうしたその性格が彼の支持を集める要因となりました。彼の住んでいた部落は長城に近いため、河北を支配する袁紹の影響で中原から逃げてきた人々が多数彼のもとに集まりました。彼らは武器や文字を学び、徐々に軍事的な指導力を身につけていきました。

軻比能は漢の方式を取り入れ、部下の兵士たちを指揮し、外出時には旗を掲げて合図を送り、軍の動きを統制しました。

曹操の影響と戦闘

建安12年（207年）、曹操が柳城方面に出兵し、烏桓の蹋頓単于を討った際、軻比能は後漢にて使者を送り、献物をささげました。さらに建安16年（211年）には、田銀が叛旗を翻した時、彼は3千余騎を引き連れ、田銀を討って破ることに成功しました。

建安23年（218年）には、漢に叛いた烏桓の能臣氐と扶羅韓との会盟を行い、軻比能は扶羅韓を暗殺することで、彼自身の勢力圏を広げました。彼は烏桓と手を組み、漢に対して攻撃を続けましたが、魏王に就任した曹操からの反撃もあり、最終的には逃げることを余儀なくされました。

曹丕との関係

220年、曹丕が魏の皇帝に即位すると、軻比能は使者を送り、馬を献上し、附義王の位を授与されました。この時期、彼は歩度根との戦闘が続きました。両者は何度も接触を持ちましたが、遂には勢力に差が出始め、歩度根は次第に弱体化していきます。

221年、彼は魏に逃げてきた鲜卑族を送り返し、232年には交易を開始しましたが、周辺部族との争いは続きました。田豫が調停役となり、これ以上の抗争を防ぐため努力しましたが、敵対関係も続いていました。

曹叡の時代と最後

228年、田豫が軻比能に包囲されると、牽招が急遽救援に向かい、彼を救出しました。この後、軻比能は蜀漢の諸葛亮と連携し、和平を試みましたが、最終的には敵対し、幾度も戦闘を繰り返しました。

235年、王雄によって軻比能は刺殺され、その死は彼の影響力の終焉を意味しました。

軻比能の記録と伝説

小説『三国志演義』においても、彼は強大な鮮卑国王として描かれ、蜀への侵攻を狙う連合軍の一員として登場します。彼の物語は、中国の歴史における異民族の役割を強調し、その戦いは時代を超えた評価を受けています。軻比能は単なる武将としてではなく、混乱の時代における人間模様を象徴する存在として、今も語り継がれています。

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