神奈川新聞花火大会

神奈川新聞花火大会

神奈川新聞花火大会（かながわしんぶんはなびたいかい）は、1986年から2016年までの31年間にわたり、夏の神奈川県横浜市で開催されていた大規模な花火大会です。主催は神奈川新聞社でした。

概要と歴史

この花火大会は、1986年の初回開催時には横浜市の山下公園前面の海上を打ち上げ場所としていました。その後、横浜みなとみらい21地区の開発が進展するのに伴い、1995年からはこの新しい開発地区の前面海上へと打ち上げ場所が変更されました。

大会の大きな魅力は、横浜港の広範なエリアや、周辺の高台から花火と美しい港の夜景を同時に楽しめる点にありました。特に夜景を背景に打ち上げられる花火は多くの観客を魅了し、8月の横浜を代表する風物詩として定着しました。毎年多くの人々が会場周辺に集まり、賑わいを見せていました。

休止とその背景

回を重ねるごとに人気が高まる一方で、運営を取り巻く環境は厳しさを増していきました。みなとみらい21地区の開発が進み、大規模なイベントで必要となる有料観覧席などを設営するための広々とした空き区画が減少したことが運営上の課題となりました。

また、多数の観客が会場周辺の路上に溢れかえり、緊急車両の通行に支障を来すなど、安全確保や円滑な交通誘導といった面での制約も増大しました。こうした様々な課題が複合的に影響し、主催者である神奈川新聞社は、2016年8月2日に開催された第31回大会をもって、本花火大会を休止することを決定しました。この決定は社告にて発表されました。

社告の通り、2017年以降、神奈川新聞花火大会は開催されていません。

後継イベント

神奈川新聞花火大会が休止された後、2018年の夏季からは、神奈川新聞社を含む地元の企業などで組織された実行委員会により、横浜みなとみらい21地区で新たなイベント「みなとみらいスマートフェスティバル」が開催されています。このフェスティバルでは、多様なプログラムの一つとして花火の打ち上げも行われており、神奈川新聞花火大会の事実上の後継イベントとして位置づけられています。

過去の事故・トラブル

大会の長い歴史の中では、残念ながらいくつかの事故やトラブルも発生しています。

1989年8月2日: 大会中に花火が暴発する痛ましい事故が発生し、作業にあたっていた花火師2名が死亡しました。
2015年8月4日: 花火大会自体に直接関連する事故ではありませんが、大会開催中に、花火大会会場周辺に近い横浜駅と桜木町駅の間で、京浜東北線・根岸線の電車が架線トラブルにより立ち往生する事態が発生しました。エアコンが停止した車内に乗客が長時間閉じ込められ、高架線上を歩いて避難するなど混乱が生じました。このトラブル発生時、会場周辺は花火大会の見物客に加え、同日に横浜アリーナで開催されていたライブイベントの観客なども加わり、非常に混雑していました。この混雑が事故の遠因や被害拡大の一因となった可能性が指摘されています。

横浜市内の他の主な花火イベント

横浜市内では、神奈川新聞花火大会以外にも様々な花火イベントが開催されています。

横浜開港祭（1981年 - ）：みなとみらい21地区で開催される開港記念イベントの一部。
横浜スパークリングトワイライト（2012年 - ）：みなとみらい21地区の海岸部で開催される、主に冬期の花火イベント。
みなとみらいスマートフェスティバル（2018年 - ）：みなとみらい21地区で開催される、神奈川新聞花火大会の後継的なイベント。
新横浜花火大会（2018年 - ）：鶴見川多目的遊水地周辺で開催される花火大会。
* 金沢まつり花火大会（1964年 - ）：海の公園地区で開催される花火大会。

過去には横浜国際花火大会（1956年 - 2008年、山下公園地区）も開催されていました。また、八景島シーパラダイスでは花火シンフォニアが不定期で開催されるなど、横浜では多様な形で花火が夏の夜空を彩っています。

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