神戸港地方

神戸港地方：歴史と自然が織りなす神戸の静かなエリア

神戸港地方は、兵庫県神戸市中央区に位置する地域です。郵便番号は650-0007。かつては生田区に属していましたが、現在は中央区の一部となっています。その歴史は古く、江戸時代には都市部に対して農村部を指す言葉「地方（じかた）」として使われていました。それが、次第に都市部の周辺地域を意味するようになり、現在では神戸港に隣接する山岳地帯を指す地名として定着しました。

地理：山々に囲まれた静かな住宅地

神戸港地方は、錨山（碇山）、市章山、堂徳山、再度山など、緑豊かな山々に囲まれた地域です。市街化調整区域に指定されており、住宅は山間部に点在しています。東は葺合町、南は北野町、山本通、諏訪山町、再度筋町、兵庫区楠谷町、南東は兵庫区梅元町、西は兵庫区平野町、北は北区山田町下谷上と隣接しています。西側の葺合町との境界には、滝山城跡という歴史的な史跡も存在します。

歴史：明治時代からの発展と変化

神戸港地方の成立年代は明確には分かっていませんが、明治7年の兵庫県布達では北野町、宇治野町以南の地域が「神戸港のうち」と記述されています。その後、昭和6年には神戸市神戸区、昭和20年には生田区、そして昭和55年には中央区に編入されました。生田区時代には「神戸」を付けず、「港地方」と表記され、「みなとじかた」と呼ばれていました。

明治時代には、いくつかの重要な出来事が起こりました。明治13年には、堺の妙国寺から妙見堂が移転し、日蓮宗妙見寺舜如院と改称しました。明治36年には諏訪山遊園が開設され、神戸港での観艦式を記念して錨山（碇山）が造られました。さらに、明治40年には神戸港築港起工式を記念して市章山が誕生しました。

大正時代には、大正13年に私立山手学習院（現在の神戸山手大学）が創立され、大正15年には神戸山手高等女学校と改称しました。昭和時代には、昭和3年に諏訪山公園に動物園が開園し、昭和7年には再度筋が再度筋町として分離されました。昭和9年には神戸区教育会が林間学校再度山尋常小学校を開校し、昭和10年には裏山開発が完了しました。また、戦後には神戸山手女子中学校、高等学校、短期大学が設置されました。昭和26年には動物園は灘区の王子公園に移転し、神戸市立王子動物園となりました。昭和55年には、神戸港地方の一部が諏訪山町として独立し、一部が山本通、北野町、加納町に編入されました。

人口：変遷と現状

平成17年国勢調査によると、神戸港地方の世帯数は40世帯、人口は162人（男性87人、女性75人）でした。しかし、昭和63年には世帯数86世帯、人口275人、昭和35年には世帯数125世帯、人口510人、大正4年には戸数185戸、人口841人と、時代によって大きな変遷がありました。現在では、静かで落ち着いた住宅地として、その歴史と自然豊かな環境を保ちながら、静かに発展を続けています。

参考文献

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 竹内理三 編『角川日本地名大辞典 28 兵庫県』角川書店、1988年

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