神田和泉町

神田和泉町（かんだいずみちょう）

神田和泉町は、東京都千代田区の北東部に位置する町名です。住居表示は実施されておらず、「丁目」の設定がない単独町名となっています。郵便番号は101-0024です。

地理

神田和泉町は、以下の地域と隣接しています。

北部：台東区台東一丁目
東部：清洲橋通りを挟んで台東区浅草橋
南部：佐久間学校通りを挟んで千代田区神田佐久間町
西部：昭和通りを挟んで千代田区神田松永町

町域内は商業地域としての性質が強く、オフィスビルや商店が多く見られます。

住居表示は未実施ですが、1986年3月の地番整理の際にそれに準じた街区符番（枝番）が採用されています。町内には1番地と2番地しか存在しないため、番地が丁目の代わりに使用されています（例：神田和泉町1-2-3の最初の「1」は「1番地」のこと）。

地名の由来

町名は、藤堂高虎以降、藤堂家当主が代々襲名した官位「和泉守」に由来します。現在でも津市では、藤堂高虎ゆかりの地としてイベントが行われています。江戸切絵図によると、町内には能勢氏、太田氏、中根氏、酒井氏の屋敷も存在しましたが、藤堂家の屋敷が最も大きく、現在の昭和通りが和泉橋通りと呼ばれていたことなどから、この地域に「和泉」の名が定着しました。

神田和泉町が成立したのは1872年（明治5年）です。1911年（明治44年）に神田の冠称が外されましたが、1947年（昭和22年）に神田区が千代田区に合併すると同時に冠称が復活しました。

歴史

江戸時代

江戸時代は武家地であり、武家屋敷が立ち並んでいました。明暦の大火直前の『新添江戸之図』には、伊勢国津藩藤堂大隅守（和泉守の誤り）家上屋敷、信濃国松本藩水野出羽守家屋敷、旗本中根壱岐守の屋敷が確認できます。江戸時代中期には、出羽国庄内藩酒井左衛門尉家中屋敷が加わり、水野家屋敷が移転しました。後期には、地黄城能勢熊之助家上屋敷、太田鉦吉屋敷が加わりました。

明治時代

1868年（明治元年）7月、藤堂家屋敷跡に医学所仮病院が設置され、横浜軍陣病院の機能が移転し、大病院と称されました。この大病院は、幾多の変遷を経て東京医学校となり、1876年（明治9年）に本郷本富士町に移転しました。東京医学校はさらに変遷を重ね、東京大学医学部となり、1878年（明治11年）11月に附属病院として神田和泉町に第二医院を設立しました。第二医院の周囲には、東京司薬場（後の東京衛生試験所、現：国立医薬品食品衛生研究所）、養育院、東都病院（現：坪井医院）などが置かれ、一時衛生施設が集積しました。

1901年（明治34年）1月29日、第二医院で火災が発生し、患者21名が犠牲となりました。その後、当地は東京帝国大学医科大学の運動場となりましたが、三井家の手に渡り、1909年（明治42年）3月、第二医院跡に三井慈善病院（現：三井記念病院）が設立されました。

大正時代

1923年（大正12年）の関東大震災では、下町地区が甚大な被害を受けた一方で、神田和泉町は奇跡的に焼失を免れました。この功績により、当地一帯は1934年（昭和14年）1月に府より関東大震災協力防火の地として顕彰され、和泉町内に「防火守護地」の記念碑が建てられました。

昭和時代

1933年（昭和8年）、佐久間町より佐久間国民学校が移転しました。1993年（平成5年）に今川小学校と合併し、和泉小学校となりました。1945年（昭和20年）の東京大空襲では壊滅的な被害を受けましたが、戦後、三井厚生病院が再建され、1971年（昭和46年）には和泉公園が整備されました。

現在の神田和泉町

現在の神田和泉町には、三井記念病院、千代田区立和泉公園、千代田区立和泉小学校などの施設があります。また、YKK、日本卓球、NIPPON EXPRESSホールディングスなどの企業本社も所在しています。

鉄道駅は町域内にありませんが、秋葉原駅が至近にあります。また、国道4号が町域内を通っています。

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