神直日神

神直日神（かむなおひのかみ）：禍を祓い、穢れを清める神

神直日神は、日本神話において重要な役割を担う神です。古事記では『神直毘神（かむなほびのかみ）』、日本書紀では『神直日神（かむなおひのかみ）』と表記され、『神直備神』という表記も見られます。いずれも、災厄や穢れを取り除き、世の中を清める力を持つ神として認識されています。

誕生の経緯

神直日神の誕生は、伊邪那岐命（いざなぎのみこと）が黄泉の国から生還した際に発生した出来事と深く関わっています。黄泉の国での体験によって伊邪那岐命は強い穢れを身につけ、その穢れから禍津日神（まがつひのかみ）が誕生しました。禍津日神は災厄をもたらす神であり、その禍を鎮め、世の中を浄化するために生まれたのが神直日神です。

神直日神は、直毘神（なおびのかみ）の一柱として誕生しました。その後、大直日神（おおなおひのかみ）という神も生まれ、最後に伊豆能売命（いずのめのみこと）が誕生したとされています。これらの神々は、それぞれ異なる役割を担い、禍津日神の災厄に対抗する存在として重要な役割を果たしました。

祭祀における役割と解釈

神直日神は、古来より穢れを祓い、災厄を鎮める神事において重要な役割を果たしました。学者である折口信夫は、神直日神をマガツヒ（禍津日神）の対となる存在として捉え、表裏一体の関係にあると論じています。また、直毘神は神事における祭主、伊豆能売命は巫女という役割を担っていた可能性も指摘されています。

平安時代以降は、神直日神は宴会の神や遊芸の神として認識されることもありました。これは、神直日神がもつ、世の中を明るくし、喜びをもたらす側面が強調された結果と考えられます。

神直日神・大直日神を祀る主な神社

神直日神や大直日神を祀る神社は全国各地に点在しています。主な神社を以下に列挙します。

警固神社（福岡県福岡市）
櫻井神社（福岡県糸島市）
直日神社（福岡県直方市）
早吸日女神社（大分県大分市）
西寒多神社（大分県大分市）
出羽神社 大直日神社（山形県鶴岡市）
五泉八幡宮（新潟県五泉市）
鵜戸神宮 九柱神社（宮崎県日南市）
伊蘇乃佐只神社（鳥取県八頭郡）
大原神社 桜井神社（島根県邑智郡）
野間神社（愛媛県今治市）
神部神社（山梨県甲州市）
大縣神社 解除社（愛知県犬山市）
坐摩神社 相殿神社（大阪府大阪市）
伊久刀神社（兵庫県豊岡市）
綾戸國中神社（京都府京都市）
厳島神社（広島県廿日市市）
石上神宮 七座社（奈良県天理市）

これらの神社では、古来より神直日神の霊験を信じ、人々の祈りが捧げられてきました。

関連する神々

神直日神と関連性の深い神としては、瀬織津姫などが挙げられます。瀬織津姫は、水の神、または豊穣の神として信仰されており、神直日神と同様に、自然の力や生命の力を司る神として認識されています。

まとめ

神直日神は、日本神話において重要な役割を持つ神であり、その存在は古来より人々の信仰を集めてきました。災厄を鎮め、世の中を清める力を持つ神として、現代においても多くの神社で祀られ、人々の生活に寄り添っています。その多様な解釈と全国各地に点在する神社は、神直日神が持つ普遍的な力と信仰の深さを物語っています。

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