西寒多神社

西寒多神社について

西寒多神社（ささむたじんじゃ）は、大分県大分市に位置する神社です。古くは豊後国一宮として知られ、現在も多くの人々に崇敬されています。この神社は、式内社（大社）であり、旧社格は国幣中社、現在は神社本庁の別表神社となっています。

祭神

西寒多神社の主祭神は、本殿に祀られている西寒多大神（ささむたのおおかみ）です。これは天照皇大御神、月読尊、天忍穂耳命の総称とされています。また、相殿神として、応神天皇、神功皇后、武内宿禰、さらに殿内には伊弉諾大神、伊弉册大神をはじめとする多くの神々が祀られています。

歴史

神社の創建については、「大分郡志」によると、神功皇后が三韓征伐からの帰途、西寒多山（現在の本宮山）に立ち寄り、その証として山頂に白旗を立てたことが起源とされています。その後、応神天皇の時代に武内宿禰が本宮山上に祠を建てたのが、神社の創祀とされています。この伝承から、西寒多神社は本宮山を神体山として成立したと考えられています。

国史における初見は、『日本三代実録』に記載された貞観11年（869年）の記述で、西寒多神に従五位下が授けられたことが記されています。『延喜式』神名帳には豊後国大分郡に「西寒多神社」として記載され、豊後国で唯一の大社に列しています。平安時代後期以降は一時衰退しましたが、中世以降は領主である大友氏の崇敬を受けました。

近代に入り、明治4年（1871年）には近代社格制度において国幣中社に列格し、第二次世界大戦後は神社本庁の別表神社となっています。

式内社の比定と豊後国一宮について

式内社「豊後国大分郡 西寒多神社」の論社としては、他に西寒田神社（大分県臼杵市）があります。しかし、大分郡の郡域や本宮山伝承から、現在の西寒多神社が本祠であるとする見方が強いです。

豊後国一宮についても、西寒多神社と柞原八幡宮の2社が主張しています。嘉応3年（1171年）の史料では「由原八幡宮」を一宮とするものがあり、宇佐八幡宮別宮の柞原八幡宮が西寒多神社を差し置いて一宮に転化したとする見方が有力です。ただし、史料によってどちらが一宮であるかの記述が異なっており、一宮の確定は難しいのが現状です。

境内

西寒多神社の境内には、本殿をはじめ、多くの建造物や自然があります。

社殿
本殿の右に建つ神庫は、明治19年（1886年）に建てられた入母屋の校倉造りで、大分市の文化財に指定されています。
万年橋
神社の入口を流れる寒田川に架かる石造単アーチ橋で、昭和55年（1980年）に大分県の有形文化財に指定されています。江戸時代末期の文久2年（1862年）に地元の庄屋らが発起し、岡藩領の石工によって建設されました。橋長は22.0メートルで、美しいアーチを描いています。
摂末社
本宮山頂には、当社の創祀の地と伝わる本宮神社があり、本社境内からは片道約2時間かかります。その他、厳島神社、繰生社、伊勢社などがあります。

主な祭事

西寒多神社では、年間を通じて様々な祭事が行われています。特に重要なのは以下の祭事です。

式年祭
33年目ごとに行われる御神衣祭（かんみそまつり）は、祭神の神衣を新調して納める重要な祭典です。
神幸大祭（御神幸祭）
3年目ごとに行われる祭りで、神輿が氏子地域を巡行します。
年間祭事
毎月1日の月次祭をはじめ、元旦祭、厄除星祭、祈年祭、本宮春祭、例祭、ふじまつり、大祓、夏越祭、本宮秋祭、新嘗祭、除夜祭など、年間を通して多くの祭典が執り行われます。

文化財

西寒多神社には、多くの文化財があります。

大分県指定有形文化財
万年橋
大分市指定有形文化財
神庫
大分市指定天然記念物
ヤマフジ

その他、西寒多神社の森も大分県指定特別保護樹林、大分市指定名木に指定されています。

交通アクセス

バス: 大分バス（ふじが丘行）で「ふじが丘南」バス停下車、徒歩約8分。
* 鉄道: JR九州豊肥本線 敷戸駅から徒歩約30分。

西寒多神社は、豊かな自然と歴史に彩られた、訪れる価値のある神社です。

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