神経質

神経質とは

神経質とは、精神医学における概念で、一般的には、情緒不安定で些細なことを気にしたり、取り越し苦労をしやすい性格や気質を指すことが多いです。しかし、精神医学的には、不眠、めまい、頭痛、脱力感、注意散漫、取り越し苦労などを主症状とするもの、対人恐怖、不潔恐怖、疾病恐怖、尖鋭恐怖、広場恐怖などの強迫神経症、さらに不安、心悸亢進、呼吸困難などを発作的に繰り返すパニック障害の3つのタイプに分類されます。

日本では、精神科医の森田正馬が神経質の研究と治療法を提唱しました。

森田理論

森田正馬は、かつて神経衰弱と呼ばれていた状態を「神経質」と呼び変え、その原因と治療法について独自の理論を展開しました。

神経衰弱との違い

従来の神経衰弱は、複雑な生活や心身の過労が原因とされていましたが、森田はこれを否定し、神経質は神経の衰弱ではなく、特殊な気質を持つ人に起こる精神的なものと捉えました。森田は、神経衰弱という病名を否定し、病気として治療するのではなく、健康者として扱うことで改善すると主張しました。

神経質の症状

神経質によって引き起こされる症状は多岐にわたります。頭痛、癇癪、不眠、めまい、心悸亢進、脈摶結帯、耳鳴り、胃アトニー、下痢や便秘、腰痛、性機能障害、書痙、頭がぼんやりするなど、身体的な症状から、赤面恐怖や不潔恐怖といった強迫観念まで、その現れ方は様々です。

神経質のメカニズム

これらの症状は、神経が過敏であるとか、神経衰弱であるとか、意志が弱いといったことではなく、誰にでも起こりうるものです。たまたま不快な感覚を気にし始めたことがきっかけとなり、自己観察が過剰になり、そのことに執着することで不快感が増幅すると考えられます。森田は、これを「実体のないものをあたかも実際の重い病気にかかっているように苦悩する状態」と説明しました。

森田理論の核心

森田理論の核心は、「従来の医学では身体の変態や異常から他動的に起こると考えられていた症状が、実は自分自身の心から自動的に起こる」という点にあります。森田は、この発見をコペルニクスの地動説に例え、神経質患者が訴える複雑な症状を簡単に説明し、治療を可能にしたと主張しました。この理論は、森田が24年間の試行錯誤を経て確立したものです。

まとめ

神経質は、身体的な症状から強迫観念まで、多様な症状を引き起こす精神的な状態です。森田正馬は、神経質を神経の衰弱ではなく、精神的なものと捉え、独自の理論と治療法を提唱しました。森田理論は、神経質を単なる病気ではなく、心のメカニズムとして捉え、その改善を促す上で重要な役割を果たしています。

関連情報

森田療法: 神経質を改善するための心理療法。
神経症: 心理的な要因によって引き起こされる精神的な状態。
不安神経症: 不安を主な症状とする神経症。
パニック障害: 強い不安や恐怖を伴う発作が繰り返される状態。
心身症: 心理的な要因が身体症状を引き起こす状態。
社交不安障害: 他者との交流に強い不安を感じる状態。
ランチメイト症候群: 親密な人間関係を避ける傾向。
回避性パーソナリティ障害: 他者からの拒絶を恐れ、社会的な活動を避ける傾向。
自己愛性パーソナリティ障害: 自己中心的で、他者への共感に欠ける傾向。
過干渉: 他者の行動や意思決定に過度に介入する傾向。
人見知り: 初対面の人や慣れない人に過度に緊張する状態。
羞恥心: 自分の行動や感情に対して恥ずかしいと感じる感情。
文化依存症候群: 特定の文化や環境に依存した心理的な状態。
ハイリー・センシティブ・パーソン: 生まれつき感受性が高く、繊細な気質を持つ人。

外部リンク

* 森田正馬の神経質講義ー神経質とはどんなものか？

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