書痙

書痙（しょけい）

書痙は、文字を書く際に手の震えや痛みが生じ、効果的に字を書くことが難しくなる書字障害です。この症状は、職業性ジストニアに分類されることがあります。特に速記者や代書人、作家、教師など、文字を書くことを生業とする人々に多く見られます。緊張が高まることが、症状の悪化を引き起こす要因の一つとされています。

症状

書痙の患者は、字を書く際に手が震え、文字が不規則になってしまったり、字を書くために利き手を別の手で支えなければならない状況に陥ることがあります。このような症状は、手や肩の凝りや痛みが伴うことが多いです。緊張しやすい人が発症する傾向がありますが、特に仕事で字を書く機会が多い人の間で多く見られるため、職業病とも言われています。

具体的には、人前で字を書く際に震えが生じることが多いです。このような場合、他人からの視線や評価を気にするあまり、緊張が過剰になり、症状がさらに悪化することもあります。このことは、対人恐怖症の一種とも言われており、緊張から来る神経症や心身症とも関連していると言われています。

原因

フランスのピティエ・サルペトリエール病院の研究によると、書痙は反復して同じ筋肉を使う環境にいる人によく見られるとのことです。長期間にわたって書痙を発症している患者の脳画像を健常者と比較したところ、小脳や感覚運動皮質で灰白質が少ないことが明らかになりました。これは直接的な原因を示しているわけではありませんが、小脳の機能に関連する可能性が示唆されています。

また、書痙以外の動作での震えがない場合に書くときだけ震える場合が書痙とされますが、一方で本態性振戦や甲状腺機能亢進症、禁断症状、カフェイン摂取による震えを含む場合もあります。

治療

書痙が生じた場合、特に人前で書くときに症状が悪化する場合は、神経内科を受診することが推奨されます。治療法には薬物療法（抗不安薬など）、森田療法、認知行動療法、催眠療法、自律訓練法などがあり、それぞれの療法には一定の治療期間が必要となります。治療には自己判断が求められることもあるため、自分に合った方法を見つけながら継続することが重要です。

また、2022年の研究では、ボツリヌス毒素療法やMAB療法が書痙に効果的であったと報告されています。これらの治療方法も視野に入れると良いでしょう。

まとめ

書痙は、特に文字を書くことが求められる仕事を持つ人々にとって深刻な問題であり、日常生活や仕事に大きく影響を及ぼすことがあります。発症する原因や有効な治療法についての研究が進むことが期待されています。

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