福井康順

福井 康順について

福井康順（ふくいこうじゅん、1898年4月27日 - 1991年1月21日）は、日本の仏教学者および中国学者であり、学者としての多彩な経歴を持つ存在です。彼は大正大学の学長や早稲田大学の名誉教授を歴任したことでも知られています。また、天台宗の僧籍を有し、日光山輪王寺の唯心院の住職を経て、妙法院の門跡となりました。

経歴のはじまり

福井は1898年に長野県小県郡長久保新町（現在の長和町）で生まれました。父親は町役場に勤める公務員であり、母親は寺院の出身でした。1910年に日光の輪王寺で得度し、仏教の道に進みました。以降は早稲田大学文学部哲学科で学び、1924年に卒業しました。大学院では津田左右吉のもとで仏教や中国思想を学びました。1928年には大正大学で文学部講師として教壇に立ち、翌年には助教授に昇進します。

中国留学と思想交流

福井は1932年から1934年にかけて中国に留学し、滞在中には胡適などの著名な思想家と面会し、中国の思想界の最新の動きを取り入れました。帰国後の1935年には、師である津田左右吉とともに早稲田大学の東洋思想研究室を設立し、1937年には年報『東洋思想研究』を発刊しました。この動きは日本の東洋思想研究に大きな影響を与えました。1941年には早稲田大学の文学部教授に昇格します。

戦後の活動と学位取得

戦後は1949年に文学博士号を取得し、学位論文『道教の研究』を発表しました。1950年には日本道教学会を設立し、会長を務めました。このように、道教についても積極的に研究し、特に独自の視点から道教研究の重要性を社会に訴えてきました。彼の道教に関する主著としては『道教の基礎的研究』（1952年）が挙げられます。

学長としての役割

1968年には大正大学の教授を退任し名誉教授となり、その後も教育界での影響力を持ち続けました。1972年には大正大学の学長に就任し、1975年までその職にありました。1991年1月21日にこの世を去るまで、多くの弟子や後進たちに影響を与え続けました。

受賞歴と研究成果

福井は1976年に勲二等瑞宝章を受章するなど、その業績が広く評価されています。特に、日本における仏教の研究や道教の受容に関する多くの著作は、学界で重要な位置を占めています。彼の著作は全6巻にわたる『福井康順著作集』としてまとめられ、仏教及び道教研究における礎を築いた先駆者といえるでしょう。

家族や弟子

福井康順の家庭には、彼と同じく東洋学の研究者である福井文雅、福井重雅がいます。両者とも早稲田大学で教授を務め、福井康順が残した思想を引き継いでいます。彼は津田左右吉の弟子としても知られ、早稲田大学東洋哲学研究室の発展に大きく寄与した人物です。

福井康順は、その豊かな研究成果と教育後進への影響を通じて、日本の仏教及び道教研究の重要な礎を築きました。

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