福富町上戸野

福富町上戸野（ふくとみちょうかみとの）は、広島県東広島市に属する大字です。この地域は町内全域で住居表示が実施されておらず、古くからの地番に基づいて管理されています。

地理

東広島市の福富地区の南部に位置し、福富ダムのやや下流にあたる沼田川沿いに広がっています。周囲は緑豊かな山々に囲まれ、地区全体が田畑を中心としたのどかな農村景観を呈しています。目立った商業施設などはほとんどなく、静かで自然に恵まれた環境が特徴です。

歴史

上戸野の歴史は古く、近世には戸野村の一部を構成していました。明治22年（1889年）の町村制施行以降も長らく、現在の東広島市河内町域にあった大字戸野の一部とされていましたが、昭和33年（1958年）に分立し、福富町に編入されるという歴史的経緯を持っています。

具体的な沿革としては、以下の通りです。

昭和33年（1958年）4月1日：賀茂郡河内町戸野の一部が「上戸野」として分離され、同郡福富町へ編入されました。
昭和33年（1958年）8月1日：河内町戸野との間で境界が変更されました。
平成17年（2005年）2月7日：福富町が周辺の4町（黒瀬町、河内町、豊栄町、安芸津町）とともに東広島市に編入されました。これに伴い、上戸野は東広島市の大字「福富町上戸野」となりました。

交通

町内には鉄道路線は通っておらず、鉄道を利用する際の最寄り駅はJR山陽本線の西条駅や西高屋駅などになります。これらの駅からは距離があるため、地域住民の主な移動手段はバスとなっています。

公共交通としては、芸陽バスの路線バスと、東広島市が運営するコミュニティバス「河内あゆピチふれあい号」が運行されています。

バス路線

芸陽バスは、豊栄から久芳を経由して戸野・河内駅方面へ向かう系統や、造賀、高美が丘を経て西条駅へ至る系統、さらには東広島医療センターを経由する系統など、複数のルートで運行されており、周辺地域との連携を支えています。

芸陽バス主な系統：
豊栄 - 久芳 - 戸野 - 河内駅
豊栄 - 久芳 - 造賀 - 高美が丘 - 西条駅
豊栄 - 久芳 - 造賀 - 西条駅
豊栄 - 久芳 - 造賀 - 篠 - 東広島医療センター - 西条駅

コミュニティバス「河内あゆピチふれあい号」は、河内駅を起点に、小田、宇山、出合宮などを経て上戸野を結ぶルートで運行されており、地域内の細やかな移動ニーズに対応しています。

河内あゆピチふれあい号主な系統：
河内駅 - 小田・宇山・出合宮 - 上戸野
上戸野 - 出合宮・小田 - 河内駅

道路

町内には、重要な幹線道路である国道375号線と国道486号線が通っています。国道375号線には、地域の利便性向上に貢献する福富豊栄バイパスも整備されています。これらの国道は、町内全区間で重複して指定されています。さらに、この重複区間の一部は、主要地方道である広島県道33号瀬野川福富本郷線とも重複しており、複数の主要路線が重なり合う区間が存在します。これらの道路網は、地域の物流や日常生活において中心的な役割を担っています。

主な道路：
一般国道375号線（福富豊栄バイパス含む）
一般国道486号線
広島県道33号瀬野川福富本郷線

施設・名所

上戸野には、地域の歴史や自然を感じさせるスポットが点在しています。かつての城の跡とされる堀城跡や高塚城址は、地域の歴史を物語る遺構です。また、美しい滝として知られる鰐淵の滝は、豊かな自然景観の一部をなしています。地域住民の信仰を集める八坂神社や、憩いの場として整備されている平上親水公園なども、上戸野の特色を形作る重要な要素です。

主な施設・名所：
堀城跡
高塚城址
鰐淵の滝
八坂神社
平上親水公園

学区

公立の小・中学校に通学する場合、上戸野地区の児童・生徒は、福富町内にある以下の学校が学区となります。

福富小学校
* 福富中学校

統計情報

2020年時点での上戸野の総面積は8.179951529平方キロメートルです。また、最新の統計である2024年11月末現在では、世帯数は144世帯、人口は286人となっています。面積に比して人口は少なく、典型的な農村・中山間地域の特性を示しています。

もう一度検索