福岡市交通局1000系電車

福岡市交通局1000系電車

福岡市交通局が運行する1000系電車は、地下鉄空港線と箱崎線で使用される通勤形電車です。1981年に導入されたこの車両は、日本で初めてワンマン運転に対応した地下鉄車両です。この電車の導入は、当時の地下鉄1号線の開業に伴い行われました。設計には、国鉄の201系電車のノウハウが活かされており、最新の技術が盛り込まれています。

車両の特徴

1000系電車は、海岸近くを走る筑肥線の運用に適した設計が施されています。車体は普通鋼製の骨組みに、ステンレス製の外板を採用したセミステンレス構造となっており、外装はすっきりとした印象を与えます。また、車体は無塗装で、白と青のストライプが施されています。全長は20メートルで、片側4扉の構造を持つこの電車は、国鉄・JRの通勤形電車とほぼ同じ規格となっています。

台車・機器

台車はFDT-1という車体直結空気ばね台車を使用しており、制御方式には電機子チョッパ方式が用いられています。新しい技術として、主電動機のブラシレス化が進められ、空気圧縮機も独自の電源システムを持つなど、革新的な取り組みがなされています。

運転装置には自動列車運転装置（ATO）が搭載されており、1984年には日本の地下鉄史上初めてワンマン運転が開始されました。運転台のドアスイッチにより、ワンマン運転時のドア開閉が行われます。2021年には、ホームドアの運用開始に合わせて、さらに安全性が向上しました。

車内設備

車内は全てロングシートで、暖色系の内装材が使用されています。車椅子スペースも設けられており、1982年からは冷房装置も標準装備されています。屋根上には集約分散式の冷房装置が設置され、客室内は快適な温度が保たれます。また、LED式の案内表示装置も設置され、利用者に向けた情報提供が行われています。

編成とリニューアル

1000系は6両編成で、先頭車を制御車とし、残りを電動車とするMT比4M2Tの編成です。製造後15年以上が経過した1996年には、車両の経年劣化が進行しており、リニューアルが必要となりました。1997年から2004年には、経済的かつ効果的なリニューアル工事が実施され、新型車両に近づくような改善が図られました。この工事によって系列名が1000N系に変更され、性能が向上しました。

外観としては、前面のガラスや窓の固定化、LED行先表示器の導入がなされました。また、客室内も化粧板や床材が更新され、快適性が大幅に向上しました。

製造と運用

初めての製造は1981年で、その後も順次製造が進められました。現在、全編成が姪浜車両基地に配属されており、地下鉄空港線や箱崎線、筑肥線で広く運用されています。過去には、筑前深江駅までの運用もありましたが、ダイヤ改正によって廃止されました。

今後の展望

2018年には、1000系の後継車両に関する計画が発表され、2024年度から2027年度にかけて新型車両が投入される予定です。2023年には新形式の4000系が発表され、今後の運行に期待がかかります。

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