福島鉄次

福島鉄次：絵物語で少年たちの心を掴んだ作家

福島鉄次（ふくしま てつじ、1914年2月19日 - 1992年）は、昭和時代に絵物語作家として活躍しました。本名は加藤興（かとう たかし）といい、上山路夫という別名も使用していました。福島県白河市出身です。

生い立ちと初期の活動

19歳の頃から洋画家の岡吉枝に師事し、絵の基礎を学びました。戦前は、小学館の学年別学習雑誌や朝日新聞社の『アサヒグラフ』などに挿絵を描く仕事をしていました。

絵物語作家としての躍進

戦後、一時的に日本鋼管に勤務しましたが、1948年に秋田書店から単行本『コングの猛襲』、『コンドル魔島』を上山路夫名義で出版し、作家活動を本格的に開始しました。1949年には、秋田書店から創刊された『冒険王』で「ポップ少年の冒険　ダイヤ魔神」の作画を担当し、2号からは『沙漠の魔王』（後に『砂漠の魔王』に改題）を連載しました。

『沙漠の魔王』に登場する巨大な魔王は、少年たちの間で大きな話題となり、福島鉄次は一躍人気作家となりました。小松崎茂や山川惣治らと共に、1950年代前半の月刊少年雑誌の絵物語ブームを牽引する存在として活躍しました。

晩年

晩年は秋田書店に勤務し、原稿の校正を担当していました。ペンネームの「福島」は、出身地である福島県に由来します。

松本零士との出会い

漫画家の松本零士は福島鉄次のファンであり、秋田書店の受付で偶然出会った際、自身の思いを伝えたそうです。しかし、福島からは「もう福島は死んだと思ってくれ……」という返答があり、松本は深く胸に刻まれたと述懐しています。

作品リスト

コングの猛襲 （秋田書店、1948年、上山路夫の名義）
続コングの猛襲 コンドル魔島 （秋田書店、1948年、上山路夫の名義）
沙漠の魔王 （『冒険王』、1949年）
いなずま童子 （『漫画王』、1954年）
K2帝国 （作・香山滋、『冒険王』、1955年）
怪人Z （『漫画王』、1957年）
旋風（はやて）剣士（『冒険王』、1957年）

関連人物

秋田貞夫
宮﨑駿

参考文献

大阪国際児童文学館・編『日本児童文学大事典　第2巻』大日本図書、1993年。ISBN 978-4-477-00376-4。

福島鉄次は、絵物語という形式で、戦後の少年たちに夢と冒険を与えた作家として、その名は記憶されるべきでしょう。

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