谷口藍田

谷口藍田（たにぐち らんでん）

谷口藍田（1822年9月19日 - 1902年11月14日）は、江戸時代後期から明治時代にかけての儒学者であり、教育者です。名は中秋、字は大明、介石という別号も持ちました。肥前国有田（現在の佐賀県有田町）に生まれ、内外の学問を修め、教育と人材育成に生涯を捧げました。その足跡は広く、まさに旅に生きた儒学者と呼ぶにふさわしい人物です。

生涯

藍田は、佐賀藩士谷口陶渓の息子として生まれました。幼少の頃より神童と称され、12歳から儒学者・清水龍門に学びました。その後、医学を志すも断念し、広瀬淡窓の咸宜園に入門。塾頭を務めるほどの秀才ぶりを発揮し、大村益次郎に学問を教えたこともありました。江戸では羽倉簡堂に師事し、佐藤一斎、佐久間象山、坪井信道、伊東玄朴らと交流し、見識を深めました。

26歳で佐賀藩校・弘道館に入り、草場佩川、武富圯南に師事し、江藤新平、副島種臣らと交友を深めました。その後、故郷に戻り私塾・薫陶塾を開き、多くの門人を育てました。その後、鬒山書院を開設するも焼失。衝山書樓に居を移し、西九州各地を遊歴しました。

長崎では藍田塾を開設し、グイド・フルベッキやチャニング・ウィリアムズに漢学や日本史を教える傍ら、彼らから西洋事情や英学を学びました。大隈重信も長崎に滞在しており、藍田の紹介でフルベッキやウィリアムズに師事しました。大隈は藍田と共に王政復古運動にも関わり、日本の近代化に貢献しました。

明治維新後、鹿島藩の弘文館教授として藩政に参画。廃藩置県後は瓊林学館の館長を務め、漢学と英語を学べる学校として評判を博しました。その後、鹿島義塾で後進の指導にあたり、晩年は東京で私塾を開き、後進の指導に尽力しました。1902年、脳溢血のため死去。その功績を称えられ、正五位を追贈されました。

業績

藍田は、儒学を基盤としながらも、洋学にも精通し、東西の文化を融合させた独自の思想を構築しました。教育者としては、人格形成を重視し、多くの有能な人材を育成しました。また、大隈重信の政治活動を支援し、高島炭鉱の開発に参画するなど、実業家としても活躍しました。

大隈重信との交流

大隈重信とは、長崎で出会い、互いに影響を与え合いました。藍田は、大隈に西洋事情やキリスト教の知識を教え、大隈の政治家としての才能を開花させるきっかけを作りました。大隈は、イギリス公使パークスとの交渉に藍田を同行させ、その交渉を成功に導きました。大隈は、藍田から学んだ知識が交渉の成功に大きく貢献したと述懐しています。

高島炭鉱の開発

藍田は、トーマス・グラバーと協力して高島炭鉱の開発に参画し、日本の近代化に貢献しました。高島炭鉱は、後に三菱によって発展し、日本の経済発展を支える重要な資源となりました。

評価

谷口藍田は、近代教育の父として、また東西の文化を融合させた思想家として、高く評価されています。その教育者としての功績は大きく、多くの有能な人材を育成し、日本の近代化に大きく貢献しました。鍋島直彬からは「天下の真儒」と称えられました。

親族

将棋棋士六段の間宮純一は谷口藍田の外孫にあたる。

墓所

青山霊園に墓があります。

もう一度検索