秋冬

楽曲「秋冬」について

「秋冬」（しゅうとう）は、作詞を中山丈二、作曲を堀江童子が手がけた楽曲です。この曲は、中山丈二が1980年に36歳という若さで急逝した際に、彼の遺作として発見されました。中山は生前、銀座を中心に弾き語りを行っており、その際に残されたデモテープに「秋冬」が収録されていました。

楽曲の発見と初期の広まり

中山の死後、彼の才能を惜しんだ関口宏、峰岸徹、カルーセル麻紀らが中心となり、自主制作で「秋冬」のレコードが400枚製作されました。このレコードは、関係者を中心にひっそりと聴き継がれ、銀座、赤坂、六本木などの地域で静かなブームを呼びました。また、『アフタヌーンショー』や『3時にあいましょう』といったテレビ番組でも紹介され、徐々にその名が知られるようになりました。

ブームの到来と競作

1983年、橘美喜がシングルとして「秋冬」をリリースしたことをきっかけに、一大ブームが巻き起こりました。このブームに乗じて、原大輔、小田陽子、三ツ木清隆、堀江童子（セルフカバー）、高田みづえなど、多くの歌手が競作する形で「秋冬」をカバーしました。特に高田みづえは、1984年の『第35回NHK紅白歌合戦』でこの曲を歌唱し、5年連続7回目の出場を果たしましたが、翌年芸能界を引退したため、この紅白歌合戦が最後の出演となりました。

オリジナル版のリリース

カバーブームの中、「中山本人の歌を聴きたい」という要望が高まり、RIV.STAR RECORDSから中山丈二のオリジナル版が発売されました。このオリジナル版は、デモテープの音源から中山の声だけを取り出し、新たな演奏と組み合わせて制作されました。

さまざまなカバーバージョン

「秋冬」は、1983年から1984年にかけて、多くの歌手によってカバーされました。

橘美喜: 1983年のシングルで、「秋冬Ⅱ」（スローバージョン）をカップリングとして収録。
原大輔: 1983年のシングルで、中山丈二とは異なるアレンジで発表。1984年のアルバム『秋冬』にも収録。
小田陽子: 1983年のシングルで、「ジェラシーはDameよ」をカップリングとして収録。
三ツ木清隆: 1983年のシングルで、「倖せづかれ」をカップリングとして収録。1984年のアルバム『秋冬 - 女情歌』にも収録。
堀江童子: 作曲者自身によるセルフカバー。1983年のシングルで、「傘はじゃま」をカップリングとして収録。
高田みづえ: 1984年のシングルで、「北へ」をカップリングとして収録。1984年のアルバム『秋冬～季節めぐり』にも収録。
やしきたかじん: 1984年にカセットテープのみで発売。2014年のアルバムに収録。
ロス・プリモス: 1984年のシングルで、「別れるのになぜ」をカップリングとして収録。
村上幸子: 1984年のアルバム『酒場すずめ』に収録。
ラブ・サントス: 1984年のシングルで、「おんな虫」のカップリングとして収録。

その他にも、テレサ・テン、中条きよし、ニック・ニューサー、永井裕子、藤原浩、井上由美子、渥美二郎など、数多くの歌手によってカバーされています。

中山丈二のシングル収録曲

1980年に自主制作された追悼盤には、「秋冬」が収録されています。1983年にRIV.STAR RECORDSから発売されたシングルには、「秋冬」と「秋冬カラオケ」が収録されています。

関連作品

三ツ木清隆のバージョンは『秋歌』に、高田みづえのバージョンは『秋の夜長と上手につきあう17の知恵』に収録されています。

「秋冬」は、中山丈二の才能と早すぎる死を惜しむ多くの人々の想いが込められた楽曲であり、時代を超えて愛され続けています。

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