秦徳純

秦徳純（しん とくじゅん）とは

秦徳純（しん とくじゅん、生年1893年12月11日 - 没年1963年9月7日）は、中華民国時代の著名な軍人であり、数々の歴史的な軍事組織にその身を置きました。彼のキャリアは、北京政府、直隷派、国民軍、国民政府（国民革命軍）と多岐にわたり、軍事活動を通して中国の歴史に深く関与しました。彼は「紹文」という字を持ち、数十年にわたって中国の政治と軍事の舞台で流浪することになります。

初期の経歴と軍事活動

秦徳純は、済南陸軍小学を経て保定陸軍軍官学校の第2期を卒業し、1914年に陸軍第5師に配属されました。その後、彼は1918年に安徽派の部隊に加わりますが、1920年にこの派閥が敗北すると、彼は北京陸軍大学に転校し、第6期生として学びました。1923年に卒業後は直隷派に加わり、河南省に駐留しましたが、1924年に発生した第2次奉直戦争では再び直隷派が敗北を喫します。この時、彼は当時の指導者・王為蔚に従い、国民軍の岳維峻に参加し、国民軍第2軍の参謀長に就任しました。

その後、直隷派に戻り、河南省一帯での戦闘に従事しましたが、1927年に馮玉祥率いる国民革命軍が河南に進出すると、遂に馮に帰順し、第2集団軍の副総指揮兼第23軍の指揮官に任命されました。この負け戦から立ち直り、彼のキャリアは飛躍的に進展していきます。秦はその後も軍内で出世を重ね、誘導力を強めました。

北伐と政権内での役割

北伐が完了すると、秦徳純は新たに成立した国民革命軍でさまざまな重要ポストを歴任しました。反蔣介石戦争においては国民軍副総参謀長として尽力し、敗北後は张学良に降伏し、国民政府内で重要な役割を担うことになりました。また民国21年には宋哲元とともに軍政における地位を確立し、民政庁長と省政府の委員としても活躍しました。

土肥原・秦徳純協定とその影響

1935年、張北事件に伴い秦徳純は日本側代表の土肥原賢二と交渉し、その結果として「秦土協定」が成立しました。この協定は中国国内で批判を受け、「何土協定」とも呼ばれました。協定により、秦は新たに省政府の長としての地位を得ますが、宋哲元の圧力からそのポジションを実質的に放棄せざるを得ず、軍政における困難な状況に直面します。

日中戦争と内戦時代

日中戦争勃発後、秦はその役割を軍政官僚に転じ、官職を重ねていきます。1946年には国防部次長となり、1948年には山東省の主席および青島市長に就任しました。しかし、この時期すでに人民解放軍の圧力が強まり、彼は青島に着任してからわずか8日間で逃げざるを得なくなります。1949年には台湾へと逃げ延び、その後はこれまでの軍事経験を背景に再び活動を開始します。

最期と評価

秦徳純は1963年に台北にて病を得て死去しました。彼の生涯は、中国の近代史における数多くの事件や出来事に密接に関連しており、波乱に満ちた時代における軍人としての影響は大きいと評価されています。彼の活動は、中国軍の歴史や国民党の政治的動向に対する一つの視点を提供する重要なものとなっています。

もう一度検索